oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

ドラマ「令和元年版牡丹灯籠」を見る 下

 

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 で、ドラマの感想です。今回の主演は、原作で後半のヒロイン、尾野真千子演じる、お国です。なまめかしく、ふてぶてしい感じがあってます。したげられた女中という境遇が可哀そうです。群像劇になっているのでヒロインとしては弱いかな。お露さん役の上白石萌音は「舞妓はレディ」でデビューしたので、着物の着こなしはばっちりです。周防正行監督の怪しい映画なので、見てる人少ないと思うけどね。私は長谷川博己の狂気に、一時はまっていたので見ております。若手でこんなに着物の所作ができる人は貴重です。「君の名」のヒロインでもあるしね。新三郎は中村七之助。実は難しい役だと思うのです。学問はあって純粋だけど、心の弱い青年です。着物に慣れていて、純な感じの若手スターって思いつかない。「いだてん」でちょっと厚かまし三遊亭圓生を演じていたので、歌舞伎の人はすごいなって思いました。お米さんの戸田菜穂もなんですけど、時代劇になれたいい俳優さんで固めていて楽しかったな。面白い話なのはわかっているのでやりたかった人多かったのでしょう。東映の実験作、内田聖陽主演の「スローな武士にしてくれ」のスタッフが作っているようですね。

 残念なのは全4回の3回がお露編なので、1回で解決編にまとまっているところかな。新三郎を裏切って死に追いやった伴蔵お峰夫婦とトリックスターの医者、山本史杖のその後の話は省かれてます。ポケモンニャースで有名な犬山イヌコさんがお峰を演じています。近年、歌舞伎で強調して演じられている部分なので、伴蔵役の段田安則さん、山本史杖役の谷原章介さんも出番は少ないけど張り切って演じているので、それだけのパートも見てみたかったかな。

 原作では、お露の父の妾、お国がぐれた原因は家来の孝助を捨てた彼の母との因縁なのですが、ここは今の時代のモラルには合わないし、ややこしい経過があるので決闘シーンで物語を終わらせています。そこが省かれているのでお国の情念が分かりにくく、孝助が婿になった健康な家族、相川家とのやり取りで、彼が幸せになるだろうという確信が弱くなっています。そこは原作を読んでくれってことだろうと思います。

 この決闘から仇討成就の結末は新しい映像技術を使い、歌舞伎を研究した若手二人の演技で良かったですね。牡丹灯籠の隠されたテーマ、敗れ去った弱い人々の悲哀とそれを踏み越えて生きていかなければいけない若者が背負った孤独が映像化されたのは、青空の青が表現されたのはよかったなと思います。

 

 

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真景累ヶ淵

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三遊亭円朝と民衆世界

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 この前、NHK円朝特集で著者が出ていて読みたいなと思っている本です。民俗学から怪談に迫った本らしいです。円朝の怪談は江戸末期の田舎の荒廃が描かれているので興味があるのですが、でも、ただただ、値段が高いです。