oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

ドラマ「エルピス」雑感

 渡辺あやのエルピスにはそんなに期待値が高くなかった。朝ドラ「カーネーション」は傑作だけど、あれは長い準備があっての作品だしなっていう感じだった。だから、配信でチラチラ見てた。ここはさすがに面白いなとか。演出の大根仁、抑えてて、でも、さすが手堅いなとか。

 眞栄田郷敦が岡部たかし演じる村井さんに心のとげを指摘されて冤罪事件にのめりこむあたりから、これ、いいなって思いだした。

 どんどん、表情がどす黒く変わっていくのにびっくり。年齢的に大人なる時期なんで、それを追って演出と役がはまるとびっくりするほど演技がいい人がいる時期なんだけど、それだけでない美貌と色気のある才能あったんだなって驚いた。

 演技の家に生まれた人だと感じた。彼は演じたいという何かがある。それを見ぬいたドラマ関係者。鶴瓶さんのAスタジオを見て感心したらしいんだけど。

 彼によって人の愚かさがどんどん暴かれていく。最後は放映時間を楽しみに待つようになった。見てる脇で、どうせ、冤罪ものはドキュメンタリーに勝てないよっと、やたら、声の大きかった息子が途中から最終回見てた。

 このドラマは冤罪を声高に訴えるドラマじゃない。人の持つ卑しさと共存して道を踏みは外さないように日々をすごそう。日常の人を信じ助けようというドラマだった。

 そのためか、犯人はほぼ出てこない。永山瑛太が演じている怖い背景が読み取れる顔の印象と周辺の人にその魅力を語らされているだけなのである。しかし、犯人なんて、それで充分なのだある。彼に彼女らはむごく殺されたのであるから。陰に取り込まれてはいけない。

 だからか、ラストのニュースを見る関係者はみんな人の親であることがさりげなく見せられる。そして、ヒロインが仲間ともりもりと牛丼を食べる姿。冤罪を助けられた人が支援者にふるまわれるカレーとケーキが輝く。

 第8回で被害者の少女の素行が暴かれ、被害者の痛切ないたみが理由も問われず娯楽として消費されていく。

 今も皆がいろんな理由で現実から目をそらして生きていく。しょうがないことでもある。でも、それが人生をむしばむ。それにささやかでも抵抗したい。そんなことが表現されていた。

www.ktv.jp