oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

2019-01-01から1年間の記事一覧

「欄外の人物」ってなんぞや 文学界1月号 又吉直樹X宇多田ヒカルを読んで

文學界 1月号 作者: 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2019/12/07 メディア: 雑誌 宇多田ヒカルさんと又吉直樹さんの対談でうっかり、ひと様にリプライしてしまった私の対談での感想。読んでみると二人はとても真っ当な文学への思いを語り合っています。小…

子どもは強い。そしてやはり希望なのだ。「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

友達が連載されてたエッセイ読んでて感心してたし、田舎のご近所の本屋さんでも並んでいるのでヒットしてるなって気になっていた本。一気に読めた。これは最近の私にも意外と珍しくて、今まさに起こっていることの内容だということと、文章が優れているとい…

その人の最善の道って考える「私はカレン、日本に恋したフランス人」

じゃんぽーる西さんのエッセイ漫画は何となく読んでいた。フランス体験記、そして国際結婚、いっぱい書かれているけど、面白いネタだからかな。でも、読み続けられたのは奥さんになったカレンさんが面白いのからかな。それで彼女のエッセイを読んでみた。い…

「いだてん」最高じゃんね、テンション高めに言いたい。

面白かった! 私は一年間、大河ドラマ「いだてん」を見ていたんだけど、最後、北野武演じる古今亭志ん生で話が終わってホント良かったなって思った。というか、パソコンで息子さんの古今亭志ん朝としか、文字変換できないんですけど。このように、かくも私た…

科学や医学が輝いていたころ BBCドラマ「Call the midwife」

midwifeって助産婦さんなんですね。深夜の妻ってベタだな。イギリスで第二次大戦後のベビーブーマーの子供たちがたくさん生まれたことで、今、ジョンソン首相がやめようとしている国民健康保険が拡大されたころ。医療の進歩が貧しい人々にも行き渡る過程のダ…

チェーン店をけなす前に「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」

マクドナルドの創設がマクドナルドさんたちで、チェーン化したのはそれを乗っ取った男だという悪評は知っていた。で、どんな風にいやなやつだったかって興味があった

取材する円朝「円朝ざんまい」

円朝の語り本を読んでいると田舎の地名や様子が手に取るようにわかる。これは相当取材してるなってわかります。この前の鬼怒川の氾濫のとき、「真景累ヶ淵」の舞台であるあの辺りのジメジメ具合を読んでいたので、すごく納得しました。しかし、氾濫の多さが…

ドラマ「令和元年版牡丹灯籠」を見る 下

で、ドラマの感想です。今回の主演は、原作で後半のヒロイン、尾野真千子演じる、お国です。なまめかしく、ふてぶてしい感じがあってます。したげられた女中という境遇が可哀そうです。群像劇になっているのでヒロインとしては弱いかな。お露さん役の上白石…

ドラマ「令和元年版牡丹灯籠」を見る 上

子供のとき、テレビでときどきやっていた牡丹灯籠は、どうも面白くなかった。美女のお露さんがお米さんと牡丹灯籠をもって、深夜、カランコロンと下駄を鳴らして現れるのはロマンチックなんですが。新三郎が取り殺されるとわかったら、コロッと態度が変わっ…

田辺聖子を改めて読む2

短編集「感情旅行センチメンタルジャーニー」を始めて読んだ。その中で驚いたのは戦争体験からくる虚無感と怒りの感情の強さだった。たぶん、女性目線では生々しくて書けなかったのだろう、男性が主人公の短編集だ。最後の「玉島にて」が唯一、女性が主人公…

田辺聖子を改めて読む1

先日、田辺聖子さんが亡くなった。NHKのニュースでは「感傷旅行」で芥川賞をとられたと悼まれていた。ちょっと、違和感があった。賞をもらったという切り口しかないのか。「私的生活」などの恋愛もの、古典をかいつまんで解説したもの、評伝、源氏物語の現代…

「源氏物語」物語は、なぜ始まるか。巻8「宇治十帖」テーマは繰り返される。

源氏物語のラスト、「宇治十帖」は紫式部の作品なのかと、ずっと源氏オタクのなかで言われています。というのは、登場人物が欠点のある人ばかりであること、今までの華やかさがないからだと思います。書き切れてないところも多いですし。でも、今までいろん…

「源氏物語」物語は、なぜ始まるか。巻7「若菜」陰々滅滅編

「若菜」では、女三宮という女性が登場します。女三宮は源氏の元天皇の兄の娘です。兄が出家にあったって、有力者である源氏の正妻にという話が持ち上がります。最初はめんどくさいと断っていたのですが、藤壺のめいで美女であるということを知って受け入れ…

「源氏物語」物語は、なぜ始まるか。巻6「玉鬘」誘惑編

大学のゼミで主に勉強してたのは「玉鬘」の巻です。なぜか、ゼミの先生がこの巻であることを発見したからですね。でも、実際、この巻は波乱万丈でとても面白い巻でもあるのです。 ヒロインは物の怪に取り殺された女性夕顔の娘、玉鬘です。ちなみに玉鬘とは美…

「源氏物語」物語は、なぜ始まるか。巻5「若紫」転換編

「若紫」は母に亡くなられ、父に冷たくされている美少女が登場します。京都郊外の北山の寺にいる少女の愛らしさ、哀れさ、源氏物語の屈指の美しい場面です。それを覗き見る不幸な青年の純情。青春の哀愁です。そして、少女は青年に救い出されます。あまたの…

「源氏物語」物語は、なぜ始まるか。巻4「若紫」展開編

巻2で書いた通り、若紫が書かれたあと源氏物語は長編化したというのはほぼ事実だと断定されています。これは千年にわたる源氏研究者の集合知です。 源氏物語は貴族が落ちぶれて平家物語などの琵琶法師が音楽とともに語る軍記物がはやると廃れました。庶民が…

「源氏物語」物語は、なぜ始まるか。巻3「若紫」プロローグ

私が大学の国文科で源氏を学んだのは中学時代に貸本屋で読んだ白土三平の「忍者武芸帳」にはまったからです。代表作「カムイ伝」も団塊の世代しか知らないんじゃないかな。画家である白土の父は小林多喜二の盟友で共産党の活動家です。のちに脱会して、もの…

「源氏物語」物語は、なぜ始まるか。巻2「夕顔」

夕顔の花です。昔、近所にありましたが、夏の昼間早くに咲いてます で、「夕顔」の巻のはなし。光源氏が京都の下町に病気の乳母をお見舞いに行った帰り、ぶらぶらしていると風情のある夕顔がからんだ塀があったのですね。その家を興味深くのぞいてみると「め…

「源氏物語」物語は、なぜ始まるか。巻1「空蝉」

「空蝉」の一場面です 高校時代、国語の副読本の源氏物語の紹介ページが好きでした。美しい題名もだけど、どうしてこんな複雑な物語がつくれるのか不思議だった。「すずし」という夏の乳がすける着物がイラストが気になった。あれって実在するの、実在したそ…

映画「砂の器」雑感 

砂の器 デジタルリマスター版 発売日: 2016/11/02 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る 春日太一さんの「オール読物」の松本清張賞特集のひとつで脚本家橋本忍の追悼の「砂の器」論を読んでたまらなく懐かしくなったので、久しぶりに見てみた…

「昨日何食べた?」ホームドラマの行き着いた先

きのう何食べた?(15) (モーニング KC) 作者: よしながふみ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/03/22 メディア: コミック この商品を含むブログを見る 12年間の連載でついに実写化されたよしながふみの「昨日何食べた?」、長年の読者である私も大興奮の…