oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

「ひらばのひと」物語を語るひと

久世番子「ひらばのひと」モーニング連載おめでとうってことで。

私が講談に興味をもったのは映画を見に行った新宿の武蔵野館で神田柏山こと、神田松之丞の公園ポスターにぽっーとなったことだ。内容が歴史ものだったのも新鮮だった。

まずい。田舎からやっとこさ高い交通費と片道2時間使ってきたんだから。

来週はまずい。

そうか、私の好きな歴史ものって講談でやるんだ。

聞けなかったことがずっと思いに残った。そのうち、神田柏山はあれよあれよとメジャーになって、襲名までしてしまった。スターを生み出すのって大事。

 

 その監修をもって連載が始まったのが「ひらばのひと」。ひらばと講談の歴史ものの合戦場面とかを表す言葉らしい。修羅場が語源とのこと。謎があるのいい。

どんな話かなって思って読んでみると主人公の新人講談師が先輩女性講談師との恋愛にならないのが新鮮だった。まあ、同僚と恋愛になる話がごまんとあるので陳腐だわな。ちょっとしたミステリー仕立てになって話がすすむ。

講談が女性を積極的に弟子を取っていたのは知らなんだ。たくさんおられるんですね。ときどき、テレビに露出してたので、いるんだなって思っていたが。そういう人がひとりおられると女性進出は進むんですな。

 

 私はどんどん先鋭的になっていくお笑いの世界についていけなくて、ときどき落語を聞くようになったくち。でも、歴史ものを語る講談は退屈かな。それが少しづつ変わっていったのは落語の中村仲蔵を聞いたり、三遊亭円朝の語り本を読んでからだ。

 そういった話の原点は講談だったということ。シリアスな物語を語る伝統を伝えるものだということをこの漫画で知った。北条時頼を主人公にした能楽「鉢の木」も講談になっているんですね。それだから、古い絵本「鉢の木」もあったんね。しかし、私、どんなもんでも活字なら読んでいたのね。病気だ。

 

 この漫画はそういった講談話を一話完結で描きながら、若手講談師たちのしごとと恋の話をからめている。恐る恐る読んでみると、歴史ファンタジー「パレスメイヂ」で語ったストーリーの力と「よちよち文藝部」の読者案内の力を複合した勝負作だったか。応援したい。

 うん、いつか講談を寄席で聞きたい。