oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

町の生活がしみじみと「パターソン」

 

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 かつて、アメリカの作家性の高い監督、ジム・ジャームッシュの映画に、永瀬正敏が対等な感じで出演したときは、嬉しかったです。で、改めて、彼が出演するということで、心惹かれて見に行ってきました。

 ニューヨークの近隣、東京からいうと埼玉的な場所に、ニュージャージー州があります。その古い町、パターソンに住んでいるバスの運転手で詩人である、パターソンさんの生活を描いた映画です。古い町並みが残っているけど、活気のある町です。まだ、こんなところ、アメリカにも残っているのですね。綺麗な滝がある公園があって、行ってみたいなあと思いました。尊敬をもって、バスの仕事を通して、町の風景をていねいに描いています。人種も多様で、実際、調べてみると、たとえば、アラブ系の比率が全米で2位ぐらいらしいですね。奥さん役がイランの女優さんなのも納得です。

 主役のアダム・ドライバーは元海兵隊員だったそうで、本人らしい写真がちらっと写ってました。奥さん役のひとも歌や絵画が得意らしい。そういった俳優さんたちの経歴をきちんと織り込んだ、ていねいな脚本、いいなあと思いました。永瀬正敏は話にからむ役ではないとの批評がありましたけど、人生が反映された役だし、素晴らしい英語の発音から、彼の精進が見えて、心地よかったです。

 パターソンはアメリカらしい詩を形作った詩人のひとり、ウィリアム・ウィリアムズが、町の平凡なひととして生活し、活動したところだそうです。その人生を監督の映画人生と響かせた映画で、永瀬正敏もその同志として出演しているのです。

 この映画は、アメリカの詩がわかっていないと、なかなか深くわからないと思うんですが、生活のなかの微妙な喜怒哀楽を感じとっていくことの大切さ、地道な努力のなかで、アートを続けていく意味を、おかしみを含めて描いたんだと思います。

 かわいいブルドックが愛犬役として出てますが、この話の鍵となってるのもいい感じです。

  

guide.travel.co.jp

 なんか、行ってみたくなったので、タイアップされたツアーガイド貼っておきます。ニューヨークからバスで一時間半らしいです。

paterson-movie.com

ゆがんでいてもいい「エル ELLE」

 オランダの映画監督、ポール・ヴァーフォーヴェンの新作「エル ELLE 」見てきました。代表作、ロボコップ、下品な感じがやさぐれて、かっこよかったですね。この新作は、フランスの女優、イザベル・ユペールを主役にした映画です。彼、もう、80才になるのか。わざわざ、このためにフランス語をきちんを勉強したらしいです。ガッツあるなあ。人間っていう矛盾した生き物を面白がって作っていて、今にがつんとあたってくる面白さです。

 あるゲーム会社の社長である一人暮らしの女性が暴行されたがで、始まる話です。でも、彼女は警察を頼れない、あるわけがありました。ここまで、ひどい理由はそうないかな。そんなことがなくても、泣き寝入りが多い犯罪です。

 でも、そこは成功を勝ち取れる、したたかで、知性のある女性、で、結構、主人公がエッという行動に出ます。でも、ゾクゾクするような恐怖もですが、彼女がわかってくると、納得できるはなしなんですね。特に途中でわかっちゃう犯人との関わり、変ですが、ありえないことではないと思わされます。

 それは、長い間、正義や倫理を理由に、いじめるのが本性である人間の部分にさらされて、戦ってきた主人公だからこその行動なんです。どんな人間も美しさとみにくさをもっていると、体ごと知っていった、彼女だからこそだと感じました。だから、さいごに、親友の女性、そして、犯人の妻も、彼女に共感します。

 そんななかで、訳ありの両親をみとり、息子が親になっていく人生の変化もしっかりと描かれているのも渋い。若いとき、なんだか、地味な大女優だった、ユペールが64才で、こんなにエロく、美しく、貫禄のある姿で、現代的な女性として演じ切るのっていいなあと思います。

 

gaga.ne.jp

小説「野火」を読んでみた

 最近めったに起きてない深夜、テレビをみてたら、「100分で名著」という伊集院光の番組が終わりかけてました。島田雅彦が講師で、次週は、この前みた「野火」の監督、塚本晋也がでるっていうじゃないですか。これは読むチャンスだと思い、早速テキストを買って、小説も読みました。

 それで読んだ感想。やはり美しい自然描写が心に刺さる。映画もそれを強調して、制作したとのこと。生き生きしたフィリピンの深い緑に圧倒されます。大岡昇平フランス文学を学び、そのとき、キリスト教に近づきました。なので、原作には教会とか、出てくるのですが、小説を読み解いて、自然こそが神だったという解釈で、その美しさをを描くことを、大切にしたとのことです。

講師の島田雅彦さんも、それが、この小説のキモで、それが的確に表現されているから、映画をみてほしい、そして、原作に触れて欲しいと、改めて思ったようです。

 主人公が自らの自然に引っ張られる場面に、美しい自然を焼く、野火が描かれます。そして、フィリピンから帰国し、武蔵野の荒れ地に住んだ主人公は、幻想としてそこにも、野火を見ます。

 

 やはり、戦後のこころの荒廃をえがいた「武蔵野夫人」は、「野火」と関係があり、同時に描かれたようです。そちらはベストセラーとなったのですが、戦争と性愛の関係性は面白いですね。 大岡昇平が戦争を追求した小説を書きながら、一見、通俗なベストセラーを書けたというのは、 すごく、興味があります。最後のベストセラー、「事件」は、神奈川の相模川以西を舞台にしているようです。そんな文学の軌跡も含めて、読んでみたいと思わせる作家さんとなりました。 

野火 (新潮文庫)

野火 (新潮文庫)

 

  

 

 

ポーの一族の続編「春の夢」を読む

  遅ればせながら、少女時代、大好きだった「ポーの一族」の続編、「春の夢」を読みました。前回のブログもそうですが、こわごわって多いな、わたし。

 で、「春の夢」ですが、吸血鬼が出てくることを除いて、とても、リアリティーを感じます。 新作「王妃マルゴ」は時代劇だなあと思いますが、こちらは、みじかに、今もどこかであるありふれた悲劇だと感じる。

 ナチスドイツをさけて、イギリスの片田舎に逃れた、ユダヤ人の美少女の悲劇が、展開します。その物語が、シューベルトの歌曲集「冬の旅」にある歌「春の夢」をモチーフにするという、とてつもなく、ロマンチックなお話になっています。なんとういか、軽みが、少女まんがのなごりが、心地いい。でも、戦争の汚らしさが背後にあって、その中に日差しがさしているように、とても、内面に響く。

 そして、少女の終わりと、戦争の終わりと重ねて、春のまえの何かは終わり、何かが始まる、むずむずした危険な感じが表現されています。そこに、「ポーの一族」の問い、吸血鬼とは何者かという話が、からんでくるのですね。うん、主人公のエドガーというキャラクターは、すごいなって思った。力がつよくて、話の渦がかきたてられ、やっぱり、面白い話を作っていくと思う。


Lotte Lehmann - Schubert : Frühlingstraum 春の夢 (冬の旅)

 

 

映画「野火」体験とは何か

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 3年ごしで、塚本晋也、監督、主演の、第二次世界大戦のフィリピン、レイテ島をえがいた映画「野火」を見てきました。残酷描写が怖くって見に行けなかったのですが、いいという評判は気になってました。

 その間、塚本晋也は、ハゲましたが、ぐっといい男になり、シン・ゴジラの舞台挨拶で黄色い声をあげられたり、スコセッシの「沈黙」ではりつけになったりしましたね。

 映画の感想ですが、まず、自然の情景が美しい。撮影も塚本晋也なんですね。そのなかで愚かな人間ドラマが展開されるわけですが。残酷描写、ハンパないです。今まで見たなかで一番ひどい。まあ、私は怖がりなんで、ホラーとか戦争映画とか、ほとんど見たことないのです。でも、びっくりするぐらいです。カンヌで賞をもらわなかったのは、メジャーでうれたり、テレビ放映も、まず、ないからなのかな。大衆に開いてない。

 でも、ロングランになっていることからわかるように、戦争を体験した兵士たちの悲劇を伝えたいという、ひりひりする思いがします。人間ってなにかということに、興味があるひとに伝える、とっても私的な映画です。DVDで、途中でやめたという感想が結構あって、映画館という空間に縛り付けられないと、見にくい映画になってます。

 で、あとで残酷さが残るかなって思ったけど、私は、ドキュメンタリーとかで擦れてたりで、大丈夫なような。あまりにやりすぎると、ホラーなフィクション感が出てくるってのもあるのかな。これって、大岡の体験なのかな。

 気になったので、少し調べてみました。大岡昇平の実体験は「俘虜記」という捕虜になった前後の体験を描いたものが、ほんもののようですね。そのころ聞いた、噂を元に書かれたようです。その体験をした人は、ほとんど生き残っていません。生きて帰っても、精神が不調になったひとが、多かったのではないかな。

 これは水木しげるの「総員、玉砕せよ!」と同じです。近い体験をもとに作られています。その後、書かれた、人々の聞き書き「レイテ戦記」、この三部作を読まないと、この映画の深いところは、わからないかもしれません。

 大岡昇平は、「俘虜記」と「野火」のあいだに、「武蔵野夫人」という、大ベストセラーを書いています。なんだか覚えてるなと思ったのは、エロ映画のなんとか夫人の元ネタなんです。そういえば、軽井沢夫人なんてのもありました。溝口健二で映画化もされています。

 日本映画チャンネルでちらっと見ましたが、いい子ぶったヒロインはじめ、困ったひとしか、出てこないです。古くもあり、途中で挫折しました。サドマゾの匂いのする嫌な話です。ヒロインが、自立感のつよい田中絹代なのもピンとこないのかもしれません。まあ、品のある文芸大作でないと、客は来ないな。脇に、若くして亡くなった、美人女優、轟夕起子。夫役は森雅之、この色々とある俳優さんたちは、今だったら芸能界にいれたのだろうか。あのころの映画界の力は感じますね。

 大岡昇平は女性関係で色々とあった人みたいです。戦前も戦後も、世をはずれたところがあるひとだったらしい。塚本晋也はこの映画で、嫌な気持ちになってほしいと願っているそうですが、戦争画面より帰還後の暗い画面が怖かった。地獄がつづいていくような感じです。人間ってなんなんだという映画だと思います。これからも長く上映されると思いますので、興味のあるひとは映画館で見てみてください。

 


nobi-movie.com

 このあと、読んでみました。それますが、晩年の「事件」、図書館になくて、いまだ、読んでません。日本文学のマイナー作品って消えつつあるのかな。生き延びるすべに知性とか教養とか役に立つのかなあって、たまに信じたくはなります。

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退屈はこわい 國分功一郎「暇と退屈の倫理学」

 最新作の「中動態の世界 意志と責任の考古学」が評判で、好奇心はあったので、図書館でさがしたら、やはり、読みたかった、前作があったので読んでみました。

 面白かったです。もっと、早く、読めばよかった。けっこう、今まで、言語化できなかったことが書かれていて、ふに落ちました。まず、人間は旅しているのが、普通で、定着しだしたのは、ごく最近だってこと、表題の退屈を知るきっかけになったことが、しっかりと今までの研究を踏まえて書かかれていました。

 私が、気晴らしに散歩に行くのが趣味なのも、当たり前のことなんですね。体力、気力はへたれで、海外とかはいけないので、ご近所を歴史をたよりに、旅しています。先日、このブログでも書いた、きだみのるのゴミ屋敷の件も納得です。移動する時は、ゴミが溜まったときだったのか。人間はすぐ、先祖返りしてしまうもんなんですか。

 読んでいて、学生時代の友達から、また、親しく付き合いたいと、急に、電話がかかってきたことを思い出しました。懐かしい話をいくつかしたのですが、「とても退屈なの」という言葉に引っかかって、なんとなく、さけてしまったのです。

 お子さんが、中学生と聞き、暇ってありえないって思いました。大人への巣立ちの時期じゃないですか。見守りという親の仕事のキモの時期で、退屈どころではないでしょう。こどもへの関心が冷たすぎるって、不思議でした。その後、住所が転々と変わっていき、連絡が取れなくなりました。

 とても、エリートのひとと結婚したのですが、彼が、有名大学の先生に転職したあたりで、あやうさを感じてました。とても、美しい高松のひとで、さぬきうどんの話をたくさんしたかな。それから、「退屈」ってことばに敏感です。

 そんななかで、ハイデッカーの退屈論への考察は、とても説得力がありました。ひとが電車待ちといった、やるべきとされていることを中断されている退屈。そして、パーティとかで、気晴らししてるときでも、かんじる退屈。そして、なんとなく、退屈というとき。一番目は、日常が動かないことへの恐怖かな。二番目は日常。そして、三番目は、日常が固まってしまった時だと思います。三番目が、私がこわいって思ったかたちですね。

 そういってる、ハイディカーって、ハンナ・アーレントの映画で見たけど、彼女と不倫したり、ナチスに、協力したりしてますね。彼にとって、退屈って切実な問題だったんじゃないかな。ある程度の豊かさを達成したけど、そのころの閉塞感のあるドイツの社会が、反映もしてるのでしょうね。ここに書かれてる哲学書、全然、読んでないんで、そんなに深くは読めてないかもしれません。だから、反論もできないんですけど。納得させる力のある本ですね。

 そういえば、カルフォルニアで、まさに、パーティ、クリスマスパーティで、テロの乱射事件を起こしたムスリムの夫婦がいましたね。

 夫は、確か、なかなかの高学歴で高収入の福祉関係の仕事でした。ネットでパキスタンだかの、名門のお嬢さんと結婚して。確か、赤ちゃんがいたと思います。しんどいけど、子供が一番愛しい時期ですよね。

 家に、通販で買った武器がいっぱいだったと報道されていました。ISとかの忠誠より、その武器の置きどころがなくて、犯行におよんだんじゃないかって、感じましたけど。この本のなかで消費のシステムの恐ろしさが描かれてますけど、これですよね。

 彼ら、ことばができなくて、子育てがたいへんだったろうし、気晴らしを知らなかったのかな。でも、クリスマスパーティに呼んだひとたちも、それなりに配慮したと思います。意地悪もしたかもしれませんが、たぶん、殺されるほどじゃなかったでしょう。武器への依存がなかったら、トラブルで済んだんじゃないかな。

 夫は、学生時代から、ぐれてたようだし、色々とそこに向かった、動かしようのない偶然が重なったんでしょうけど。そこまでいたらなくても、ひとが閉塞感をかんじる瞬間って、いっぱい、あるわけで。そんなことをしっかりと考えるヒントになりました。

 

 

 

 

暇と退屈の倫理学

暇と退屈の倫理学

 

 

やっぱり、ブログのまとめです。

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 一年ぐらい前にスマホに変えました。私はtwitterにブログのリンクを貼っているのですけど、そこで、サイトを開けてみると、はてなブログが集計した、人気5位のランキングがあるのですね。ひとは私のブログの何に興味があるか、面白いので書いてみますね。

 まず、1位は、

 

oohaman5656.hatenablog.com

  どういったらいいか、私にしたら、めずらしく、今現在を、表に出している文章だと思います。誰か、facebookでリンクを貼られてる方がいるみたいで、それでたくさん読まれてるみたいなんですけど。誰なんかなあ、私はfacebookしないのでわからないです。まあ、読んでくれるのはうれしいです。

 文章としては最初のころもあって、どうにも気に入らない。でも、田舎で、子育てしてみて、田舎の閉塞感とかが、体でわかったことが書かれて、頭で感じてたこととはずいぶんと違うことは書けたと思う

 で、2位

 

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  最近の記事なんですけど、エロは強い!イタリアのセクシー女優、ラウラ・アントネッリが亡くなってときの記事も、ときどきランキングにあがってくるのですが、あれはビスコンティの遺作が渋いって記事でもあって。

 私はこの漫画は気に入っています。話がとてもシンプルで、細い線描きの絵で勝負ってところが好きです。

 書いた頃、エロ漫画批判が盛り上がっていたころと重なりました。私的には、影響はないことないだろうなとは思います。ひとは見ることで自分を発見するし、誤解も産みやすい。でも、受け手が、どんな常識やモラルを持って育っているか、それを見て、興奮する自分をどう感じるかですね。面白いものは、混沌としたメッセージが読み取れるので、読もうと主体的にすると、色々とゆらぐかなって思う。

 山本直樹は、田中圭一の「箸とペン」で知って、読み始めたのですね。SNSがなかったら、気の弱い私は、エロ系の漫画を読まなかったと思います。色々と面白い漫画をある。若いとき好きだった漫画を、また、たくさん読み出したのは、間違いなくSNSがあったからです。紙媒体の漫画の売れ行きは、すごく落ち込んでいるようですが、私みたいなひともいます。それは、ちょっと古い作品だと割引があること、あと、保管の問題が解決できることだと思います。

 3位は

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  この文章は自分なりによく書けていると思います。とっても、ひっかかりのある監督さんだったからかなあ。4時間もある映画なんで、どんなんかなってひとに、読まれているようです。

 この映画に関しては、いっぱい、語られた映画だと思いますが、私なりの感想は書けたと思います。それは、暴力がそばにある場所での、感染力の強さへの実感です。

 私の子どもの頃は、地元で、なんどか、銃の発泡事件がありました。ドブ川に、どうしようもない人間が放り込まれたり。まだ、多少、戦争の影があり、そして、貧困がありました。台湾のように、軍隊がいばってたりはしなかったですが。

 サンフランシスコで成功した親戚を持つ、中国人一家との関わりもあって、彼らの新しい世界への、じりじりするような渇望感を感じたりしました。

 そんな体感が、少しは、出せたかなって、思っています。作品のなかでヒロインが語る。「私を変えたいのね。でも、世界といっしょで私は変わらない」というセリフ、痛いですね。初恋は象徴的に、そんな理不尽を、はじめて知る経験であることを、思い出させてくれる映画です。

 Blu-rayが出るみたいなんで、興味のある方は、どうぞ、見てみてください。子供の殺人事件の経過の細やかな描写から、社会を感じ取れる普遍性があります。

 次の4位

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  小津安二郎の映画をたくさん見ていて、思うところを書いてみたものです。この映画は、娘時代ぎりぎりの原節子小津安二郎の、運命的な出会いを描いた映画として記憶に残ってます。私的には、小津映画では、家族の全体を描いた「麦秋」が、いちばん好きなんですけど、「麦秋」では、もう群像のひとりだし、「東京物語」はキーマンで、主役は笠智衆東山千栄子の夫婦だと思ってます。後期の「秋日和」とかでは母親役ですしね。がっつり、ふたりが、四つに組んだのは、この映画だけなんじゃないかな。それだけに、原節子の生身の生理まで写しこんでいるすごみがあります。トゲトゲしい。まだ、あきらめというお薬がない。過去への執着というのは、死が遠のいて、美魔女なんてことばが使われる、今、結構、今日的なテーマなんだと思います。

最後は 、

 

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  ベルばらの第1回は、リアルに読んでいます。たぶん、雑誌のお姫様の表紙に惹かれたんだと思います。花嫁行列に男装の麗人がでてきて、かっこいいって興奮したなあ。単行本も何冊か買って、宝塚も何回か見に行きましたし、中継もしっかり見ました。そんな体験が反映して、読んでもらえてるのかな。

 男装って、象徴的で、これから社会に進出する女性の苦しみを予見した作品だと思っています。日本は、こどもをもたない独身者でないと成功しないところがあります。名誉男子的なひとといいますか。

 そんな女性の苦悩を先取りした感じがあります。アンドレは、最近の漫画の恋愛は、男装の麗人、仮想男に進んで、BL大国に至るって感じだろうか。男女の恋愛ものは、生活感が勝負ってかんじになってますね。

 

 スマホで、自分のブログを読んでみて、また、色々とひとのブログとかを読んでみると、あの小ささにあった文体を工夫されていて、面白いですね。私は、けっこうだらだらと書きたいほうなんですが、それも楽しそうだなあと思っています。そんな、色々なことを感じて、刺激になりました。