oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

小説「野火」を読んでみた

 最近めったに起きてない深夜、テレビをみてたら、「100分で名著」という伊集院光の番組が終わりかけてました。島田雅彦が講師で、次週は、この前みた「野火」の監督、塚本晋也がでるっていうじゃないですか。これは読むチャンスだと思い、早速テキストを買って、小説も読みました。

 それで読んだ感想。やはり美しい自然描写が心に刺さる。映画もそれを強調して、制作したとのこと。生き生きしたフィリピンの深い緑に圧倒されます。大岡昇平フランス文学を学び、そのとき、キリスト教に近づきました。なので、原作には教会とか、出てくるのですが、小説を読み解いて、自然こそが神だったという解釈で、その美しさをを描くことを、大切にしたとのことです。

講師の島田雅彦さんも、それが、この小説のキモで、それが的確に表現されているから、映画をみてほしい、そして、原作に触れて欲しいと、改めて思ったようです。

 主人公が自らの自然に引っ張られる場面に、美しい自然を焼く、野火が描かれます。そして、フィリピンから帰国し、武蔵野の荒れ地に住んだ主人公は、幻想としてそこにも、野火を見ます。

 

 やはり、戦後のこころの荒廃をえがいた「武蔵野夫人」は、「野火」と関係があり、同時に描かれたようです。そちらはベストセラーとなったのですが、戦争と性愛の関係性は面白いですね。 大岡昇平が戦争を追求した小説を書きながら、一見、通俗なベストセラーを書けたというのは、 すごく、興味があります。最後のベストセラー、「事件」は、神奈川の相模川以西を舞台にしているようです。そんな文学の軌跡も含めて、読んでみたいと思わせる作家さんとなりました。 

野火 (新潮文庫)

野火 (新潮文庫)