oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

「ベルサイユのばら」って、いまさら考える

 今、BSで、「ベルサイユのばら」が再放送されている。で、事前に池田理代子さんのインタビュー番組があって、桜井幸子アナウンサーと一緒に出てた。桜井さんが、ベルばらのコアなファンみたいで、その身内的な雰囲気のなかで、海外で評価が高まっていることが紹介されていた。フランス大統領がきたときのパーティで、随員のひとにマリー・アントワネットのことは、学校で悪人としか教わらなかった、ベルばらでどんなひとか学びましたと言ってもらったそうだ。ふつう、歴史というのは、学校で一通り学んで、終わりだ。物語はその複雑なものを読ませる手段の一つだと思う。「ベルサイユのばら」は池田さん自身もいっているように、ツヴァイクの「マリー・アントワネット」をタネ本にしている。彼は、欧米では忘れられた作家だったらしい。ナチスに本を焼かれて、絶版になったのもあり、大衆的な小説が時代遅れになったこと、そして、オーストリア、ウィーンのユダヤ人知識階級の退廃的ではでな生活への反発もあったようだ。こんな形で、受け継がれたというのって、面白いなと思う。ちなみにベルばらは、落ち目だった「シュルブールの雨傘」のジャック・ドゥミで映画化されている。英語でとられていたりして、資本側がずいぶん口出しして、ひどいもんだった。奥さんのアニエス・ヴァルダは、原作が漫画だと、ものすごく怒っていたらしい。今年、カンヌで彼女が栄誉賞をもらうのって、感慨深いなあ。

 ベルばらは、BL的な漫画のはしりの代表作でもあったと思う。ツバイクに、その当時の乙女の妄想をのせたのが、画期的だった。あの当時の漫画は濃い。わたなべまさこの「ガラスの城」とか、西洋へのあこがれとその奥にある日本のびんぼうがすけてて、大げさで、愛憎が深くて、子供の私でもちょっとと思った。だから、私は、歴史のなかだったら許せる「ベルサイユのばら」に飛びついたと思う。次作の「おにいさまへ」はお嬢様女学校での愛憎をねちこく書いていて、主人公のあこがれの女学生サン・ジェストさまとか、こうばしいです。学生運動世代の池田さんが、それをどう妄想していたかわかって、今となるとおもしろいけど。ベルばらのアニメを作った出崎統が、NHKBSでアニメ化しているのを最近知った。ベルばらより、池田理代子のおおげさな世界感がでてて、こちらのほうがアニメとして面白い。華麗な止め絵の世界であります。ちなみにサンジェストさまはナウシカ島本須美があてています。

 今思うと、ベルばらはその後の女の子の生き方のゆくえをしめして漫画界の展開に大きく影響していると思う。よしながふみの「大奥」の男女逆転なんか、その延長だと感じる。

 

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