oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

「夕凪の街 桜の国」幸せになることへの戸惑いから

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 ドラマになった「夕凪の街 桜の国」の川栄李奈さんの熱演をみて、この漫画が原爆の日の地上波で放映されているのをしみじみよかったなと思う。切望してみた、がらんがらんの映画館の映画は、いろんな意味でつらかった。まず、予算が俳優が、集まらなかったらしい。堺正章のおとうさんは原作の軽みのある名演だったけど。

 原作の原爆症でなくなるヒロイン皆実の「嬉しい。十年経ったけど原爆を落とした人は私を見て、やった。またひとり殺せたとちゃんと思うてくれとる」のモノローグ、初めてよんだときびっくりしたけど、きちんと映像化されてましたね。川栄ちゃんは「男の操」で恋愛ですり切れた年増役に挑戦したり只者ではないと思ってたけど、うまいねえ。原爆のトラウマのシーンもよかった。まんべんなくどろだらけになっていた。京花ちゃんを演じた小芝風花も力強かった。キムラ緑子さんのおかあさんも悲しみがあふれていた。このお母さんはこの話のキモだと思う。無念さゆえに孫たちに呪いをかけるのだ。

 モノローグは原爆を落としたアメリカを非難したととられていいと思うけど、トラウマ場面でほのめかされた原爆にあってモラルを踏み外していく、生き残った自分に対しての怒り、自らに刃を向けていると思う。その刃は生き残った人々に共通するものなんだろうな。なかったことにはできない。いなかった人にはできない。過去の上に自分がある。

 これが私にはこたえたな。たぶん、この漫画を読んだ多くのひとに届いたと思う。過去に起こったことはなかったことにできないことを。それは誰にでもあることだからだ。しっかりと見据えないと幸せになることへの戸惑いは消えないのだなあ この原作はそういった意味で原爆の悲劇を単純に描いたのでない。ドラマ化でまんがのモノローグの美しさがきわだったので、舞台でも見てみたいなあとせつに思った。

 

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