oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

シン・エヴァンゲリオンを見てしまった

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 コロナで映画館に行く習慣ができたのもあったけど、たぶん、庵野秀明の一つの終わりだと感じたので映画館で見てしまった。そして、結末がほぼ予想どおりであったにも関わらず、不覚にも平日の映画館で号泣してしまったのだった。文明を美しいと感じてしまった庵野秀明、気の毒だったな。私たち気の毒だったなって。

 私がテレビシリーズのエヴァを見たきっかけは橋本治のざっと語った感想というふらちなものだ。あれはきれいになったデヴィルマンみたいなもんで、夢落ちが結末ってのも納得できるって話だった。

 何度目かの再放送を見たのだったけど、町工場の匂いがする工業地帯に育った私にとって、あの鉄鋼や建物を美しいと肯定する感覚がまぶしかった。そしてローカルだとはいえテレビ東京の夕方6時台に堂々とミサトさんと舵さんが性におぼれることを描いたことに驚いた。深夜のアニメはほぼ見たことがないから知らんが。こんなにはっきり性にたしてアプローチした作品は見たことないな。シンジの性への妄想と大人の性の深淵とを同時に描いていて大した才能だって思った。そして、これはたまらなく痛いなって感じた。

 しかし、大したもんだと思っても、その後エヴァを見たいとは微塵と思わなかった。今回、前作を復習しましょうという企画があっても見なかった。エヴァ庵野秀明が閉じ込められた世界だと思っている

 なので、見たとき、用語とかさっぱり理解できなかった。ただただ、真っ赤な画面に圧倒され、鉄の塊の質感に感動し、編集の切れに感動した。その一方でこれは横尾忠則の絵画をアニメで見させられているようだと思った。現代作家の横尾は一部の人しか知らないけど、伝統的な地獄絵図とかの延長だと思っている。横尾が庵野に似ているのではなく、成田亨大河原邦男らをもふくむ系譜をスタッフ一同共通認識にしてるのであろう。エヴァの真っ赤な絵は地獄絵の赤だと思う。

 そのなかでのたうち回るプラグスーツというらしいのをまとった裸体より生々しいエヴァ操縦者の若い女性の肢体。ゴージャスじゃね。絵で混沌を語るといいますか。

 そのなかで今の世の中の状況が語られ、過去が修正されて物語が終わったって感じた。

 私がラストに涙したけど、もう一つ涙したのは、生き残った人々の姿だった。その生がぎりぎりでも、生きている実感が感じられて。ああ。私たちは生き残ったのだなって。