関西にいったとき、芹沢銈介の展覧会に行ってみて、カラフルでモダンなので、感動した。それで、いつか日本民藝館に行ってみたいと思い、たまたま、代々木上原から歩けることに気づきいってみた。民藝運動って、おばあちゃんのていねいで正しい生活を押してけられたようないやあな感じがあったんですね。しかしながら、高麗美術館に行って、朝鮮美術の清冽さに感じ入ったりもして、柳宗悦の日本民藝館に行ってみようと決心したわけです。
行ってみて、あのカビくさくって嫌だって感じは、ぬぐえなかった。でも、一見がらくたに見えるものがひとつ美意識で集められて個性が立っているのを見ると、好きなもの、気になるものをいくつしむ心の持ちかたは大切だ。そして、今の生活美の元を作った場所だったことがわかる。かつて、シュタイナーの展覧会に行った時も思ったのだけど、今は陳腐になったいる生活様式や建物も、初めに考えてまとめた人っているのだ。もちろん、今の時代では、その欠点やあやうさも見える、しかし、何かしらの考え方のヒントになる。
コレクションで興味をひいたのは、やはり、朝鮮の家具や絵だ。家具は今の家具のかわらないシンプルさと機能美がある。柳がそれを参考にして、西洋家具の形式で作られた机や箪笥がいくつかあって、今の家具の原型になったのがわかる。あと、司馬江漢の書いた実際の大きさと同じタカアシガニの絵があった。とても繊細な線描で書かれていて、色も再現されていて面白かった。ちゃんと、天明時代、大海蟹、房総沖って、書かれているのが、見た時の興奮が伝わってきていい。バーナード・リーチの動物ものの皿も初めて見て、イギリスの民衆のやきものと薩摩焼なんかと比較できて、それらを見つつ、オリジナルを求めていったんんだと納得できた。独特のしかやうさぎの弓なりの形がかっこいい。かつて、ここで、無彩色の陶器や文人画に囲まれた大正期の理想の美的生活が提案されていたんだなあと感じた。