oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

社会の匂いまで描く 「トラック野郎 天下御免」

 いや、面白かった。ネットのお友達に教えてもらった、テレビ東京菅原文太追悼特集の映画なのですが、あの当時の社会が、きちんと描かれていて、深かかったです。鈴木則文監督、トラック野郎なめてました。すみません。

 昭和40年代の道路は、ひどかった。映画をみて、高速の脇道の細くて険しい道を運転する、大型トラックの運転手が、特別の技術があったことを思い出しました。だからこそ、個人で仕事をし、大きな現金をえられたのです。あのころ、給料の振込が、まだ、広まっていなかったですよね。だからこそ、彼らの自由で強気な気質が、映画から実感させられます。脇に俳優さんがたくさんでてくるのですが、皆、面構えが、面白い。若い頃のアフロの鶴瓶と、深夜ラジオで人気だった鶴光さんといった人も出ています。人の群れとして描かれているので、彼らの体臭まで感じられるような気がします。この前見た、園子温の「東京トライブ」に似ています。ギラギラな原色の色彩といい、なるほど、この辺りの映画をみていたのだな。恋愛あり、けんかあり、お祭りありの盛りだくさんの映画です。そして、最後にケガをした夫に会いにいく、子連れの松原智恵子を、荷物を共に京都に送り届けるですが、途中、お正月の和服姿の彼女が、運転を代わるというでたらめさには、笑ってしまいました。トラックの中で、真剣な大人の恋愛の台詞が続いているのにおかしい。そんなドタバタの最後は、何台もの大型トラックの爆走が、空撮され終わります。お正月のおごそかしさを、たくましい彼らが支えていることを描いて、お正月映画の醍醐味を感じるラストでした。荒々しい映画ですが、あの当時の社会の匂いを知りたいと思う人には、面白いと思います。

 

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