oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

オバマ来日で思い出したこと

  

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 こどものころ、なんでかひかれて持っていた本に、カール・サンドバーグ詩集がある。文学史にものっていないし、評判も聞かない。しかし、町の本屋のかたすみに大事そうに置かれていた。サンドバーグは北欧からの移民のシカゴのひとで、おもな作品は「シカゴ詩集」と言うらしいということが、解説からわかったぐらいだ。主に労働者の喜びと悲しみをうたった詩で、鉄道建設の労働者の気持ちをうたった詩が好きだった。一等の食堂のバラが活けられたカットガラスがゆれるが倒れない光景をうたい、それは俺たちのしごとだと、悲しみと誇りをもって描かれてるのがかっこよかった。

 なんで思い出したかと言うと、今回、広島に行ったバラク・オバマ大統領を受け入れて、弁護士をしていたのがシカゴだったからだ。そんなにおかしな連想でもなく、今回、wikipediaで調べてみたら、アメリカでは、エイブラハム・リンカーンの伝記で有名なひとらしい。開拓時代のフォークソングを集めたひととしても業績がある。どんな境遇の、どんな人種のひとも受け入れるアメリカの理念に身を捧げた、どちらかというとリベラルのはしりのようなひとだったようだ。ダイナミックな都市生活を歌った詩が多い。そういった詩ばかりでなく、

霧がくる
 小さな猫の足つきで

 静かに腰をおろして
 港と街を
 眺めわたしている
 それから動いていく。
 (安藤一郎訳『シカゴ詩集』岩波文庫

 なんて詩も有名で、スヌーピー「ピーナッツ」に教科書の詩としてとり上がられているらしい。 

 そうだ、なんでひかれたかというと、私の育った大阪やそして家族は、ごちゃごちゃ言わずと、美味しいもんを食べ、好きなことをするという人間の欲望の肯定が多くて、建前をおろそかにしていたからだと思う。シカゴはアメリカの北のほうにあり、南北戦争のころ、多くの黒人移住者を受入れた土地だときく。しかし、移民したひとは綺麗ごとだけ体験したのではないだろう。そこで鍛えられたオバマって、そこにある本音にまけないで行動できる人って感じがしますね。したたかでもある。彼の亡くなった母はヒッピー世代の犠牲者って感じするし、アメリカの理念を背追わずにいられない宿命をおったひとだと思う。

 

シカゴ詩集 (岩波文庫)

シカゴ詩集 (岩波文庫)

 

  私が持っていたのは新潮文庫版の「サンドバーグ詩集」で絶版になっているらしい。最初に紹介されたのはプロレタリア詩集で、かなり先入観を持って紹介されたようだ。