oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

映画「FUJITA」見てきました

 色々と思うところがあったんですけど、出会った何ごとかを、本や、映画だったりするんですけど、なにかしら共有したく、また、ブログを再開します。膨大な量の情報が飛び交うSNSの世界では、あっという間に忘れられますが、誰かの心の片隅にある石ころでいいと思います。

 で、小栗康平の十年ぶりの新作、「 FUJITA」をついて書きました。この映画はパリで大成功を収めた画家、藤田嗣治について語った映画です。私はだいぶ前、確か、近代の洋画を集めた展覧会に、岡本太郎の「痛ましき腕」がみたくて行ったところ、藤田の「アッツ島玉砕」に出会いました。その迫力のあるいたましさ、西洋の歴史画をもののみごとに、自分のものにした絵をみて、藤田嗣治とはなにものか、深く心がとらわれたのです。その後、九段の国立近代美術館に展覧会にいったところ、常設展で、再度、出会いました。そんな感じで、いつか、詳しく知りたいと思っていたところ、この映画がパリにテロがあった、このタイミングで発表されたのです。

 前衛的な映画であるけれど、たくさんの要素がつまった大作です。オダギリジョーの決定打ではないかなあと思います。彼は全身でFUJITAという、稀有な存在を演じています。映画を見に来てるひとは藤田嗣治が気になっている、絵画ファンの年配の人が多かったです。そういう意味で、映画好きや小栗康平のファンだけでなく、長く人々に愛される、芸術とは何かを問いかける映画になると思います。

 戦争画の巡回展で「アッツ島玉砕」の前で軍服姿で敬礼するフジタの姿は、映像化されるとその事実を知っていても、謎が深まります。だが、彼が日本をどう思っていたかは、彼自身さえわからなかったのではないでしょうか。その混沌をそのまま映像化した映画なのでわかりにくく、退屈な映画に思えるかもしれません。しかし、それを映像で感じることがこの映画の核心でないかと思います。そのなかで、パリ時代の藤田嗣治は、フランスの絵画史に残る存在であったこと、「アッツ島玉砕」が自身がみとめる快作であったことが強く印象に残りました。パリ時代のゴージャスでカラフルな前半、そして、後半の日本の風景を壮大に描いた画面は長い叙事詩のようです。 秋田での体験を踏まえての、FUJITAの内面描写で終わるラストはずっと心に残ると思います。

foujita.info