アレクサンダー ペインの『ネブラスカ』、見てきました。前作の『ファミリーツリー』も、見てきたし、ファンと言っていいかもしれません。
あの映画もハワイの日常が描かれて、とても、素敵でした。内容は深刻なところもあるのですが、のんびり出来るいい映画です。ハワイの風景がとても美しく、ジョージ クルーニが出ています。
「ネブラスカ」というのは、アメリカのネブラスカ州のことです。なんにもない、牛だらけのど田舎の州です。緑でいっぱいで、美しいですが、退屈そうなところです。
監督の故郷だそうです。プライベートな話だからでしょうか、白黒の美しい画面と、穏やかな音楽が印象的です。そのネブラスカを故郷にする老人が、息子と旅をする、何日かを描いた映画です。
身につまされました。私の住んでいるところに似ていたからです。ここは富士山の、灰がたくさん降る場所なので、昔から人が少なく、かつては馬の牧場、それから後は畑に囲まれたところです。人の歴史が薄い場所で、とても、退屈な土地柄なのです。今は、家と工場が多いですが、すぐ、そばに自然の怖さがある土地です。人が良い意味でも悪い意味でも、 馴れ馴れしいのも、同じです。まあ、田舎とは、世界中、そういうものかもしれません。
ブルース ダーンが、主役の少しぼけ始めた老人を演じています。昔、映画評論家の、 淀川長治さんが、彼が主役の「サイレント ランニング」が、大好きで、何回か日曜洋画劇場で放映されていました。SFで、植物を育てるロボットとともに、宇宙を放浪する星に住む青年の役です。とても、さわやかで、上品に感じました。
見てないけど、レッドフォード主演版の「華麗なるギャツビー」においても、 語り手のトム ブキャナンを演じているようです。かつて読んだ、カークダグラスの自伝で、カークがプロデューサーとして、とても、肩入れしていたのが、印象的です。とても、ハンサムで素晴らしい俳優さんでした。
その彼が、ほんとにぼけているんじゃないかと、思わせる演技を見せています。特に、 故郷での、親戚を集めてたパーティの場面で、たくさんの老人と、競演しているのですが、本当に、埋もれていて、びっくりします。老人の群れの一員なのです。自分をさらけだしていると、言えるんでないでしょうか。
色々と、故郷で身につまされる、些細な出来事が起こります。息子さんは、いい人に、描かれすぎているような気がしますが、笑える話なので、いいのかな。
とても、心にしみる映画です。私は好きです。