oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

ポーの一族の続編「春の夢」を読む

  遅ればせながら、少女時代、大好きだった「ポーの一族」の続編、「春の夢」を読みました。前回のブログもそうですが、こわごわって多いな、わたし。

 で、「春の夢」ですが、吸血鬼が出てくることを除いて、とても、リアリティーを感じます。 新作「王妃マルゴ」は時代劇だなあと思いますが、こちらは、みじかに、今もどこかであるありふれた悲劇だと感じる。

 ナチスドイツをさけて、イギリスの片田舎に逃れた、ユダヤ人の美少女の悲劇が、展開します。その物語が、シューベルトの歌曲集「冬の旅」にある歌「春の夢」をモチーフにするという、とてつもなく、ロマンチックなお話になっています。なんとういか、軽みが、少女まんがのなごりが、心地いい。でも、戦争の汚らしさが背後にあって、その中に日差しがさしているように、とても、内面に響く。

 そして、少女の終わりと、戦争の終わりと重ねて、春のまえの何かは終わり、何かが始まる、むずむずした危険な感じが表現されています。そこに、「ポーの一族」の問い、吸血鬼とは何者かという話が、からんでくるのですね。うん、主人公のエドガーというキャラクターは、すごいなって思った。力がつよくて、話の渦がかきたてられ、やっぱり、面白い話を作っていくと思う。


Lotte Lehmann - Schubert : Frühlingstraum 春の夢 (冬の旅)