oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと、書いています。

作家とたべもの 食べること考える本4

 自伝「生きていく私」を発表したとき、かわいいおばあちゃんと評判になった宇野千代のお料理本だ。作家としてはいまいちだけれども、女としては一つの時代をいきぬいた人だと思う。この本の料理は、もう古いなあと思うのが多かったけど、その工夫が今につながる新しさで、再現したいと思わせられた。それでかまぼこと大根の塩したのマヨネーズであえた料理を作ってみたりした。

 そのときどき暮らしていた男の思い出を語りながら、料理のレシピを紹介するのもかっこいい。「人生劇場」を書いた尾崎士郎のために考えたごくどうすきやき、そして、故郷を懐かしながら作る、岩国寿司。いろんなトッピングを添えてまぜるカレー。枝元ほなみの料理にも似たのがあって、宇野千代いわく、女極道の系譜は続いているのだなと思った。自伝で印象に残っているのは彼女が親族でもあった最初の夫を痛切に愛し続けていることだ。ほかの男については多弁だが、その平凡なおとこについては、ほとんど語らない。生命力、才能にめぐまれたおんなの幸せと不幸せ、そんなことを感じながら料理をなぞった。

 

私の作ったお惣菜 (集英社文庫)

私の作ったお惣菜 (集英社文庫)

 

  

   時間がたってみると、池波正太郎は江戸と地つづきの東京で若い日をすごし、そして、関東大震災東京大空襲で失われた東京へのノスタルジーのなかで生きたひとだと思う。食べることを通して、東京下町の風情、モラル、かつてあった良きものを求めた。だから、今、ここで書かれた老舗に行ってみてもピンとこないかもしれない。すでにそこにあった良きものはすたれてしまったからだ。良きものはそこにあった江戸からの人情を知る人間そのものだからだ。

 

食卓の情景 (新潮文庫)

食卓の情景 (新潮文庫)

 

 

カレーはこの本にのっています。 

 

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