oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと、書いています。

自分の中の自然を考える「内蔵とこころ」

「内蔵とこころ」 三木成夫 河出文庫

 解剖学者で、東京芸大の教授だった、三木成夫さんの、保育大学での講演をまとめた本。子育て本のひとつして、読まれているらしい。子育てが終わった、私が、読んでもなあと、思ったけれど、読んでよかったです。よく、頭ではなく、人は、体で考えているというけれど、具体的には、どうかという事かを、研究をふまえて語っています。

 まず、私が、興味深かったのは、人間以外には、食と性のリズムがあることである。ご飯をたくさん食べる時期と、絶食して、子孫を作る事にいそしむ時期の区別が、きっちりしないのは、人間だけらしい。薄々、感じていたが、そのことで、起こる混乱について、考えさせられる。春思期に、拒食症が発生することなんかにも、関係していそうだ。

 そして、3歳までの子供たちが、こころを、発見していく過程が、丁寧に観察され、説明されている。その様子の説明が、科学者の客観的な目と、親としての、あったかいまなざしが感じられて、とても、頭に、はいりやすかった。胎児の変化とつわりの関係も、具体的な解剖図を示して、説明されている。 36億年の歴史を、受精卵の中に持つ人体って、不思議なものですね。

 その、考察が、内蔵とこころの、奥深いところまで、言及されている。内蔵の感覚が、喉や耳や目と絡み合って、言葉の音をどう作っていくかのシステムは驚きだ。客観的な事実が、いろんな、人間の活動を考えさせて、刺激的だった。

 この本は、82年の発行だが、その後、解説の養老孟司先生はじめ、芸大の学生さんや、多くの科学者、この講演を聞かれた、名もなき親御さんたちに、こころと体について考えることへの、問いかけを呼び覚ましたのだと、感じた。名著です。

 

内臓とこころ (河出文庫)

内臓とこころ (河出文庫)