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oohaman5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと、書いています。

最近読んだ本 5 さまよい歩くこと 言葉を与えること

「みちくさの名前」 吉本由美 NHK出版

 

 以前、ほぼ日に連載されていた、スタイリストの吉本由美さんの連載をまとめたもの。かつて、ご近所を散歩していると、よく、こういった道ばたの草を、眺めていたのですね。この辺りも、まだ、緑がいっぱいでした。まだ、駅近のこの辺りは、このごろ、家が建て込んで、とても、無機質な感じに、なっているのが、残念です。

 最近、子供たちも大人になってので、時間が取れるようになって、少し、遠くの方に、お散歩できるので、また、草花が、気になりだしました。そして、改めて、読んでみたくなりました。

 かつて、何回かの親子自然観察会に、参加して、覚えた、めじろとうぐいすの見分け方とか、植物の名前とか、役に立っています。昔は、子どもを背負ったりして、疲れるばかりで、ツラかったですが、あえて、行ってよかったです。この本にも、のっている、ねじ花や、みずひき、小さいので、気がつかないですが、名前を知ることで、季節を楽しむことが、できます。教えてくださった方々、ありがとうございます。

 吉本さんのこの本は、そうした専門家との、二人自然観察会です。あえて、東京の公園やら、道やらを、観察しています。そうすると、意外と、自然が隠されている事が、わかります。

 この本では、そうした名もなき、草花を楽しむ知恵がいっぱいです。そして、名前を知るということの、本当の意味について、考えさせられます。名前を知る。それを認識する。そして、共有する。人との関わりもそうだと思います。なかなかに、エロチックな事だと、改めて、思いました。

 

みちくさの名前。―雑草図鑑

みちくさの名前。―雑草図鑑

 

 

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ねじ花です。わかりますか。

 

「西行全歌集」久保田 淳  吉野朋美 岩波文庫

 

 これは、2013年、去年、新たに発行されたものなのですね。こうやって、地味に、ひそやかに、古い古典を、新しい研究で、まとめられている事、頭が下がります。専門家って、すごいなあと、改めて、思います。以前は、「新訂 山家集」という形であったものを、他の歌集も、まとめて、出版されたものです。今まで、もれていた、老境の絶唱、「年たけて 又越ゆべしと 思きや 命成けり 佐夜の中山」も入っています。

 改めて、まとめて、読んでみると、言葉によって、感情が、高ぶります。なんか、画家の全作品の回顧展に行ったのと、同じ気分になりました。生々しく、人間としての西行がせまってくるのです。

 西行に私が惹かれるのは、彼が出家することによって、保元の乱に参加しなかったこです。平清盛と朝廷で同僚であった彼は、人を殺さない人生を選びます。それゆえ、色々なものを無くします。宗教に帰依するのですが、悟りきれず、言葉で人生を求めていくのです。

 私のふるさとの歌をあえて。

「津の国の 難波の春は 夢なれや 蘆の枯葉に 風渡るなり」

 大阪って、川が多くて、元々は、海を埋めた湿地なのです。だから、私が子供の頃は、淀川沿いは、じめじめとして、殺伐とした、空き地が、多かったです。しかし、春は、ほんとに、美しかったです。そんな、景色に、言葉が、与えられていることは、締め付けられるように、なつかしいです。

 そして、人を殺戮し、栄華と権力を極めた豊臣秀吉の辞世

「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪花の事は 夢のまた夢」

 この西行の歌をふまえた歌だと思います。秀吉自身というより、まわりの人が歌った、歌かもしれません。蘆の中で栄えた、幻のような大阪城の思い出の歌です。

 

西行全歌集 (岩波文庫)

西行全歌集 (岩波文庫)