oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

伊豆の踊り子って。

 「伊豆の踊り子」のことを思い出したのは、この前、藤圭子の思い出話で、川端康成に呼ばれていって、気味が悪かったの記事があったからだ。 藤圭子は旅芸人の子どもらしい。そんな彼女がなんだか、嫌になったのは、当然かなとも思う。今日、朝日で特集があったのも同じことを感じた人がいたからかもしれないね。

 

 そういった、ダークなところを含めても『伊豆の踊り子』は傑作だと思う。かれんな踊り子と東大生、当時は一高生との淡い恋。エリートと差別される側とのせつない交流。大人になる前のふたりの道行きは甘酸っぱく悲しい。

 

 山口百恵三浦友和の映画も、ほんとによかった。百恵ちゃんは古風で色っぽくて、友和さんはりりしくて、まじめでよかった。うちの母が二人の映画のファンでした。

 伊豆の温泉を歌と踊りで巡る旅のなつかしさがたまらない話である。

 原作の小説では、踊り子達の悲しい姿も描いている。踊り子の姉が同じ14歳ぐらいで婿をとり、何度か、流産して、身体を壊していることがさらっと書かれていた。これは、娘を守ろうとする親心が裏目に出ている話でもあるな。また、主人公と踊り子一行が同じ宿には泊まれないエピソードも悲しい。

 

 そんな、世の中の悲しみと美しさを描きつづけて、ノーベル文学賞をもらった川端康成には読んだことはないが、中学生時代の男の子との恋愛を書いた日記があるらしい。この踊り子もまあ、ロリコンの話でもありますね。  

 二十歳前後の体験ではありますが、こじつけると。それに旅芸人の生活を美化するとは上から目線ともいえますな。そういった自分をいやがりはしてるけど。藤圭子さんがやだったというのはとても、わかる。ヤバいところのある人だ。

 

 にもかかわらず、私の心の片隅に残っているのはある真実が書かれているからでしょう。今、東京の青少年なんちゃらが問題になっているが、ヤバい人のほうが物事の本質や、美しさが表現できるということもあります。そういった部分を含めながら、芸術は続いていくだろう。これからも。

 

そういったことも認めながら、自分の中にもあるやばいところを抱きしめながら、私たちは生きていく。

伊豆の踊子 (角川文庫)
伊豆の踊り子 山口百恵 - YouTube