oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと、書いています。

映画を評論するって、なんだろう。真面目に考えてみた「映画評論・入門」

  このブログで、たまに映画の感想を書いてるが、面白かったとか、ここはも一つとかってことでしかない。でも、自分が生きていた道行で、体験したことを反射させて書いてるので、なにかひとつは自分なりの見方が書けていればいいなあと思っています。なので、本格的な映画評論と私が思っている文章はなにかと思いつつ、この本を読んでいました。 

 モルモット吉田さんが雑誌「映画秘宝」に書いたものをまとめたものらしいですが、私は実は、映画秘宝は読んだことがないです。若いとき見かけたときは、あまりにもホラーとか、カルトな映画の記事が多かったのでびびったし、こっちに来てからは、私が住んでる、ちょっと田舎では、ほぼ、みかけなかったりするんですね。だから、彼の評論を読むのは初めてです。

 で、なかにある、名作とされている映画を、上映時の資料を整理して、今は祭り上げられて語られない、上映時の映画に対する、誤解、そして、欠点、そして、いち早く、気がつかれた映画史的な位置への言及なんかの文章なんか、いたく、共感しました。当時の、名作「仁義なき戦い」とマフィアを描いた、マンダムのCMで人気のチャールズ・ブロンソン主演の「バラキ」が同じような評価なんて、今から考えるとばかばかしいですが、うちの父親が、ワクワクと見に行ってたことが思い出されました。結構、ヒットしたのです。

 あのころ、東映のやくざもを見てるひとは、よほどの映画おたくか、東映映画のコアなファンでしょう。

 でも、のちに、「バラキ」、テレビで期待してみたら、陰気で、地味で、実録ものって、ベタに描くと退屈だというのが、感想でした。確か、あれはゴッドファーザーのスピンオフ的に人気があったのではないかな。今、見てるひとは、ほとんど、いないと思います。そこをきちんと調べて、示してくれるのは、頼もしいなあ。

 映画ライターと映画評論の違いも検証していて、評論とは、じっくりと資料、背景を調べて、映画史的な位置、社会的な意味を考えて、作り手が次の映画に生かすことや、見てるひとが深く映画を楽しむことを示すってことなんだと、改めて感じました。市川崑が「犬神家の人々」のリメイクの際、評論を参考にして、現代的なものを消すためにCGを使ったっていうエピソードなんかそうですね。

 いわゆる映画ライターって、おもに映画の宣伝、紹介に終わっていて、この前、読んだ、某有名サイトの「ムーンライト」の評論なんて、最後は、ださい中年のおっさんの恋愛かよって、BL的な期待に沿わなかったことで、映画はつまんなかったで、終わっていて、がっかりです。

 なぜ、気に食わなかったかまで、少しは、掘り下げてほしかった。主観的で、これでは、好き嫌いでおわる、素人の感想と一緒です。私も見たけれど、地味でわかりにくい映画で、大衆的にどうかなって思うけど、今、アカデミー賞をもらった意義は、感じました。まあ、気に入ったからの贔屓もあるでしょうが。私のみんなに受けるかなっていう、漠然とした感想を説明してくれると、なんだか、納得した気になれる。サイトが安い原稿料で、宣伝で、成り立っているのはわかりますが。

 過去の評論家の人々、淀川長治さんの評論集が玉石混交なことの指摘や、双葉十三郎さんの再評価もうれしかったです。私も、スクリーンの連載、参考にしてました。短い文章で的確で、あっという見方があって、映画館に行こうって、うれしかったです。

 昔は、ちゃんとした評論家がたくさんいたんだな。いろんな文化を背景に、映画で語り合うという、ゆったりとした時間が流れていたのだなあ。

 そんなせわしくなった世の中に、ちょっとした石は投げ込んでる本だと思います。

 

映画評論・入門! (映画秘宝セレクション)

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