oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと、書いています。

近代恋愛小説の基本形 説きふせられて ジェーン オースティン

 ひと昔前の女子大の英文科といえば、ジェーン・オースティンを教えているところが結構あったんじゃないかと思う。しかめっつらしいおじさんやおばさまに教えられるのもあって、堅苦しい古典文学と思っている人が多かったのではないだろうか。まあ、イギリスでも年配の人が、BBCで見るドラマの原作ってところではないかな。

 私は、サマセット・モームの「世界の十大小説」という本で知って読んでみました。でもですよ、結婚後に、あらためて読んでみると、これが、面白かった。私は、人に紹介されて結婚したので、恋愛結婚に負けてる感があったのだ。しかしですよね、その後の彼女たちの愚痴、スキーに行きたいのに、親があかちゃんを預かってくれないとか、彼が買ってくれた誕生日の指輪が安っぽいだのをきいて、親元から、離れて、必死に二人だけで生きてる私のほうが、よほど、旦那に向き合っているなあと感じた。だいたい、次男坊をさがして、恋愛って、単なるむこ取り話ではないか。かえって、もうひと世代前の、まわりを信頼して見合いで出会って1時間で決めましたって話のほうが、冒険的であります。

 オースティンの小説は、若い男女の結婚話をおもしろおかしく、独身のひねくれおばさんが描いた話だ。ジェーン・オースティンの小説はいくつかあるが、最後の作品まで、嫁入り話なのだ。それが、「説きふせられて」だ。原題は「Persuasion」なので、「説得」という題でも翻訳されている。

 古い貴族の娘さんが身分の違う海軍士官と恋愛するが、頭が古くて、働いたこともない父親や姉にじゃまされ、その後、結婚もできず、オールドミスになった。そして、出世した男と再会した娘さんの結婚までの心の機微を描いたのが、この「説きふせられて」だ。彼女にふられてその妹と結婚した男のきもちとか、その妹で魅力的な女性と元恋人が付き合ったりとか、取り巻く人々の心のひだがえがかれていて、とても楽しい。そして、イギリスの古い貴族が没落して、植民地でお金を貯めこんだ中産階級出の軍人が力をもつ、ナポレオン戦争後の社会のようすも細かく描かれていてよみごたえがある。オースティンもこの新しい軍人さんが弟にいたらしい。だから、彼女の現実が最も出て、そして、実らなかったひそやかな恋への後悔も描いているんじゃにかとにらんでる。そして、最後は、しっとりとなにもかも移り変わっていく世の中のこと、主人公の幸せも一瞬であることがしめされ物語がおわる。

 恋愛の最高の結果が結婚とはおもわない。しかし、生命を育む女性にとっては、これは生存競争ってやつの本能にそった生き方だと思う。そのみもふたもないことだけでなく、愛のある結婚とはなにかをしめしているのが、オースティンのおもしろいところだ。だから、主人公たちは本能にながされなかった婚期におくれた大人の女性が多い。彼女の小説は、社会と人間について、深く見つめているのだ。明治を生きた夏目漱石も愛読していたのも、そこかなっと思う。読まれるべき近代小説の古典だとおもう。

 

 

説得 (ちくま文庫)

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 ウディ・アレンブルージャスミンにでてた、サリー・フィールドの出世作です。こちらでは、しっとり大人の女性を演じております。