oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

最近、読んだ漫画 海月姫 五色の舟

海月姫東村アキコ 13巻まで

 漫画は、世の中の風刺であるという、シンプルなことを思い出す漫画です。冴えない主人公が、すてきな人に出会い、美しく成長していくという少女漫画の王道。主人公が三角関係になったり、素敵なファッションのお話だったりで楽しいです。

 でも、ちょっと、ひねりがあります。外国の安い賃金で作られた、安い価格の服で、ぐちゃぐちゃになったファション界の現実。少数のもてる女の子から、はずれたため、結婚できない、正規で働けない女の子たちのおかれた現実。おタク文化とカワイイ文化の共存の夢。海月 くらげに象徴される儚く、毒のある曖昧なものへのあこがれ。混乱しているのが、いい。今をなんとかしたいなあという気持ちが伝わってきて、面白いです。

 

海月姫(1) (講談社コミックスキス)

海月姫(1) (講談社コミックスキス)

 

 

 

 五色の舟 近藤ようこ 原作 津原泰水

 第二次戦争末期を舞台にした、見世物の世界で生きる、障害を持った人びとの生き様を描いたものです。漫画という形式だからこそ、グロテスクなものを、淡々と美しく描けたのだと思います。人物の感情が、シンプルな線で表され、魅入ってしまいます。彼らは、襤褸のとりどりの布で作られた帆がある舟に住み、疑似家族を作っています。戦争で、真っ先に捨てられるだろう、弱い立場の人々の象徴です。

 一コマごとに、美しくて、読んだあと、しばらくぼーっとしてしまいました。広島に、原爆が、ある物のおかげで落ちなくて、殺されなければならない人々が生き残り、町もそのままある世界が描かれます。しかし、あってほしい世界のもの悲しさは、なんなんでしょうか。救いとは、なんなのだろうな。そんな、気持ちになりました。

 

 

 

11 eleven (河出文庫)

11 eleven (河出文庫)