永井一郎さんが亡くなった。お年もお年なので、寂しいけれど、しょうがない。最後まで現役で、戦死と言える、死に方が、彼らしい。ご冥福をお祈りします。
代表作は「サザエさん」の波平さんだと思う。本人も言っていたが、長年やっているので、地声だそうだ。多分、一番作らないで、台本どおり、演じている役なのだろう。 日本の父を長く演じた。娘一家と同居で、波平さんのような、お父さんが、がんばっているお家は、今、あるのだろうか。しかし、確かに、昭和の時代にあった生活のひとつだろうと思う。
そんな、彼が、ふるさとの関西弁で演じたのが、「じゃりんこチエ」の猫の小鉄だ。 小鉄の関西弁は堅苦しい。関西弁自体の柔らかさがない。舞台の関西弁だ。
ほかのキャストもチエを演じた、中山千夏と、父の鉄の役の、漫才師の西川のりおも、 舞台の出身なので、発声がよすぎるのである。しかし、それが味になっている。なんだか、道頓堀あたりの、昔の人情喜劇を見てる気分にさせられた。鉄とチエのドタバタな生活を、哲学する猫、小鉄がナレーションするのである。
映画の「じゃりんこチエ」は高畑勲の生真面目ところが出て、いまいちだ。テレビシリーズは、肩の力が抜けて、とぼけていて、好きだった。
関西にいる新婚時代、日曜日の昼下がり、ご近所のお好み焼きやで、いつも、中山千夏が、歌う主題歌がながれていた。それを聞くと、また、月曜が来るんだなあと思った。 永井一郎は、私にとって、なんだか、月曜日を感じさせる、声優さんだった。
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