私とスヌーピーとの出会いは、子ども時代の神戸ファミリアの布バックだ。今回の展示でも、しっかり飾られていた。そして、谷川俊太郎さん訳のコミックスを梅田店近くの紀伊国書店で買ってもらったのもいい思い出だ。そのあと、私の四コマ好きは『サザエさん』、いしいひさいちの『バイトくん』に広がっていった。
大人になって、あらためて、ピーナッツに向かいあったのは、町の図書館で、「スヌーピーと生きる」という、伝記を読んだことですね。いままで、色々と伝記を読んだけれど、平凡だけど非凡な人生を読んだのははじめてだったと思う。とても、感銘をうけました。
その本で印象に残ったのは、シュルツ氏の両親の関係がうまくいかず、いっとき、家族三人が確かアリゾナの砂漠のあるところに移住したエピソードだ。幼い子どもだったシュルツ氏はあのスパイクのように、大人で孤独な子どもだったようだ。
そして、赤毛の女の子のモデルはシュルツ氏を振った娘さんで、ピーナツの中で何度もひつこく、描かれていることも言及されていた。
人は案外、傷つきやすい。たかだか、そんなこと、ということを引きづるものだ。大人になった私はふんふんとうなづいたのだった。
そして、人に共感を与えるのはそういったふつうの煩悩を共有していたからだと知ったのだった。また、漫画家としての規則正しく、地道で平凡な生き方もプロとしてのぎりぎりとしたの胃の痛くなるようないきざまにも感動した。
今回の展示はサンタバーバラの自宅跡にあるシュルツ美術館の展示を持ってきたもので、制作現場の展示や、原画などで、とても迫力がある。伝記のさし絵で見た物が多かったけれど、シュルツ氏の他の一面もわかって、とても興味深かった。
自宅にアイスリンクや野球場を作っちゃうスポーツ好きで欲張りなところはスヌーピーそっくりだ。快活でたくましい。スヌーピーはシュルツ氏でもあるのだな。
甲斐性のある子だくさんの父の部分もわかった。とても、興味深く、楽しかった。