子どものときは分からないけど、大人になると、わかるものがある。織田作之助の「夫婦善哉」はまさに、そういう作品だ。
織田作之助が、気になりだしたのは、何年か前のお正月に泉麻人が日本映画チャンネルで、原作の「わが町」を紹介していて、見たことだ。
天王寺、夕陽ケ丘、なじみある、大阪を舞台にある男の人生を描いて、とても、感銘した。最後のプラネタリュームの星ぞらの場面はよかった。とても、哲学的で、うつくしい。川島雄三がとても、淡々と映画にしていて、いい。
「夫婦善哉」でも、水掛不動さんがモチーフになっているけれど、どこか、宗教的な背景が感じられる作品だと思う。ごちゃごちゃした、猥雑さのある、でも、きよらかな舞台で、おろかなであるが、真剣な大人どうしの恋愛がとても、いとおしい。
映画では森繁久彌が「おばはん たよりにしてまっせ」っていうのも、印象的だけれど、今度の尾野真千子、森山未來のドラマもがんばってる。
森山未來は大人の男の分厚さはないけれど、へたれな感じはでているし、尾野真千子は純な感じがいい。この「夫婦善哉」は大阪の近代を描いた、大人の悲しみを知った人の作品だったのだな。