水の匂い 宮本輝

庄野潤三を書いていて、対照的に浮かんだのは宮本輝だ。同じように、川の近くで育ったからだと思う。庄野は、戦前の船場のボンボンたちの文化のなかでそだったけれど、宮本輝は、戦後の焼け跡の荒廃がのこっていた川そばで生まれた。実際は淀川沿いだったらしいけど、「泥の河」では、土佐堀川ぞいになっている。その土佐…