oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

「我は、おばさん」を読む。

 

 

私より年下の作者の本を読むのは心苦しい。作者より下の世代の人を励ますための本がだからだ。それでも読んでみたいと思ったのは、面白そうって思ったのは、岡田育のSNSが面白いからだった。

 うん、私にも役に立ったなって思う。巻末の対談のジェーン・スーの対談論文かってあったが、ある世代から上の女性の生き方の考察になっとりますな。

 野溝七生子の「ヌマ叔母さん」面白そうだな。親戚からはずれた女性が叔母として、封建的な女系家族に働きかけ姪たちをすくおうとする話らしい。こういう隠れた作家の紹介がうれしい。小説が文化の主流からはずれてから埋もれている人が多くて、この頃、知らされてびっくりすることが多い。かつても描かれていたのかと励まされる。

 

 近藤ようこの「ルームメイツ」、私も絶版マンガ図書館で読んだ。女同士が年配になって一緒に暮らすことのリアルが描かれていて面白かった。そうか、たくさんの人読んでいたんだな。あれで絶版のアクセス数確実に上がっているな。

 私もあれから、近藤ようこ、たくさん読みました。私は同世代のマンガ家さんの本をほとんど読んでなくて、今頃、ベルセルクジョジョも読んでいる。私がうっすら当時かんじていたことを描いてるなって、ほっとしたりしてる。彼女は少し上の世代だけど、同じ時代を生きてきたのだとうれしい。

 私だけでなく、ある年代をすぎると人は創作物を見なくなる。大人とは、実社会で戦うものだという刷り込みがあるから。擦り切れてしまうから。

 しばらく前、京都精華大の教授が同世代の女性漫画ファンを集めていたが、ほとんど集まらなかった。卒業という形で情報にすら触れなくなってしまったからだろう。特に今の60代以上の女性がそういう人がほとんどだ。もう少し、過去の感激や励ましを大切にしてもいいのではと、おせっかいに思う。女性の立場って今もそんなもんだろう。

 でも、「ポーの一族」展を見に行って捨ててしまった原作のセリフ、画面を覚えていることに驚いた。こんなにも血肉になっていたのか、そういえば百回は読んでた。そして、戻ってこれたのがうれしかった。それが不幸やら孤独やらの代償としても。

 短編集「ジョゼと虎と魚たち」の重要な短編「恋の棺」に触れてくれていたのもうれしかった。この話は母違いの姉の子とはいえ、血のつながりがある青年を誘惑して童貞を奪うという話だ。そのなかであの話を読むと性的な欲望と邪心と純な気持ちのあわいを描いた思いっ切った小説であることがわかる。障害者と健常者の恋愛の話ということだけでなく、健康でふつうの青年が自分の中の変態を発見し、彼のそれを無意識に認めながら生きて楽しみたいという希望をみたす女性との物語なのだ。だからこそ、彼は最後に重みに耐えきれず、走って逃げるのだ。

 渡辺あや犬童一心の映画はそこに届いていて、SMの描写ありますね。だから、障害者との関係性の問題をずらして、障害者の自立の話にしてしまったアニメ化はほんと納得できなかった。今はできますって話なんだろうけど。それにしても外ずらでなく内面の自立じゃろ。

 あの小説は連作短編集「ジョゼと虎と魚たち」の中で読んでこそ面白い。大人になることの怖さと奥深さ、人と自分を知る恋愛の醍醐味を描いたもんだと思う。

 最後におばさん問題。経験豊かの女性になることが何が悲しいことか。人は擦れないで荒まないで衰えなくて生きてはこれんです。現実を生きてるってことはそういうことだから。だからといって「おばさん」と言われるとショックだけど。それぐらい、若さを尊ぶがゆえのいじめの対象の言葉になってる。

 年代的には私は「おばあちゃん」言われる年ごろだ。でも、愛でられのはもっといや。それは無垢であることが、扱いやすいが生きるすべだと認めることだから。意地悪ばあさんでいい。うん、あえて言いたい。私は生き様をさらしていく。

 この本は、これから生きていく若い女性にこそ触れてほしいコンテンツがたくさん詰まっている。私は本を買うという形の課金でしか協力できないが、どうか、若い人をこれからも励ましてほしい。