oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

「ピロスマニ」絵を描くということ

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 以前見損ねてた、グルジア映画「ピロスマニ」を見に行きました。グルジアの画家、ピロスマニを題材にした映画です。どうやら「FUJITA」をとった小栗康平が参考したからか、リバイバル上映です。グルジアって全然想像がつかないです。ごめんなさい。 スターリンの故郷ぐらいしか思い浮かびません。

 ピロスマニは、グルジアの居酒屋で絵と交換で酒を飲んでいた放浪の画家のようです。映画のなかで見るその絵は、素朴で哀愁があって、心を打たれずにおられません。ある日、そんな絵が発見され、もてはやされます。ほんの一瞬、貧しい彼も家族にちょっとした贈り物をしたり、高級なレストランで踊るフランスから来た踊り子に恋をしたり、嬉しい思いをします。しかしながら、所詮アカデミックな絵画とは程遠い絵描きです。新聞でぐちゃぐちゃに批判され、元からの支援者にも見捨てられ、絶望の中で亡くなるのです。

 絵の才能が飛びぬけていたから、発見されてしまったのでしょう。飛び抜けた何かがある人、スポーツ選手や芸術家といったひとは、こうした極端な喜びと絶望を味わう特別な人生を歩みます。しかし、親として、子として、隣人としてどうしようもないひとも、誰かにとっては特別なひとであり得るのです。場末で大切な仲間でありえたピロスマニを、そんな競争の世界にさらしていかがだったかを問うている映画でもあるかもしれません。日本は極端なお金持ちが芸術家をパトロンとしてささえる文化はあまりなく、浮世絵のように民衆が少しづつささえる文化が強いので、この映画は、かつて、共感を持って、ヒットしたのだと思いました。

 ソ連時代に上映された時はロシア語でしたが、今回はグルジア版です。共産時代だからこそ、昔の街並み、風俗が保存されて、映画のなかで歴史的なリアリティが表されているのは複雑です。 


『放浪の画家 ピロスマニ』予告 - YouTube