oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

科学や医学が輝いていたころ BBCドラマ「Call the midwife」

 midwifeって助産婦さんなんですね。深夜の妻ってベタだな。イギリスで第二次大戦後のベビーブーマーの子供たちがたくさん生まれたことで、今、ジョンソン首相がやめようとしている国民健康保険が拡大されたころ。医療の進歩が貧しい人々にも行き渡る過程のダイナミックな話です。手術での出産、帝王切開の技術が安く使えるようになったっていうことで、死亡する赤ちゃんやおかあさんが劇的に減ったんですね。今でも日本でも帝王切開は保険がきくっていうのはこの制度をまねたからかな。

 それを背景に貧民街で修道院の尼僧が経営する出産病院での二十代前半の助産婦さんたちの活躍を描いたドラマです。そのころの町の不衛生な様子、無知で子だくさんな様子。そして、スタッフや患者さんを蝕む戦争の影。かの「ダウントンアビー」に負けないぐらい人気のドラマらしいです。主演の美人女優ジェシカ・レインが目立つぐらいでスターは出ず、舞台できたえた手堅い俳優さんたちが出ているのですが、脚本と時代考証がしっかりしていて面白いです。原作は実録だそうですが、医療考証もかなりしっかりしてるんだと思います。

 逆子や早すぎる破水をどう技術的にきりぬけるかの出産の様子がリアルに再現されているので、個人差が大きい技術を習得することの困難さで帝王切開のありがたさがわかりますし、レントゲン車の派遣が普通になったことで結核の早期発見が可能になって命が助かるエピソードもありがたいです。私の小さい頃もレントゲン車をお年寄りがとてもありがたがっていたことを思い出しました。また、イギリスでは自宅出産がふつうで、貧乏な人たちは見栄もあったので自宅を選びがちだったんですが、衛生状態が悪いがゆえに病院が必要だったこともわかりました。日本では病院出産がお金持ちののステイタスであったので興味深いです。戦後、助産婦の資格が看護の資格にしっかりと組み込まれたのは日本とそう変わらないかな。そういった新しい生き方をえらんだ若い女性たち、たくさんいたんですね。

 脚本でロンドン、ポプラー地区の貧困の実態、イギリスの経済的な没落を容赦なく描いていています。クリスマスエピソードで女優さんが貧乏のトラウマを背負った老女を裸もさらして演じているのですが、

 

 

このあたりの俳優魂、このあたりが日本のドラマには真似できないとこだな。予算の関係もあるでしょうが、映画監督のサム・メンデスがかかわっているし、映画を見ているようでした。アマゾンプライムでの公開はジェシカ・レインの降板までですが、サリドマイドの薬害といった60年代に現れた化学の害や人種の多様化なんかを描いて今も放映中みたいです。宗教と奉仕について、戦争のトラウマについてといった多様なテーマも扱っていて、なによりも世の中がよくなっていっているという祈りがかんじられる、なかなか面白いドラマだと思います。これって、ベビーブーマーのお年寄りがご両親について知るドラマで、もうこの時代も日本でもしっかり時代劇として扱ってほしいと感じたな。ぜひ、続きもみたいです。