oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

「源氏物語」物語は、なぜ始まるか。巻1「空蝉」

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「空蝉」の一場面です


 高校時代、国語の副読本の源氏物語の紹介ページが好きでした。美しい題名もだけど、どうしてこんな複雑な物語がつくれるのか不思議だった。「すずし」という夏の乳がすける着物がイラストが気になった。あれって実在するの、実在したそうです。あのころは乳はエロではなかったのです。それだけではないのですが、大学で源氏を勉強しました。人をなぐさめる物語について知りたかったからです。

 「空蝉」の巻で夏の残暑の日、もろ肌出して碁をする空蝉と義理の娘が描写されます。京都の夏は暑い。若くて大胆な娘は乳出しだが、さすがにおくゆかしい後妻の空蝉は上着をひっかけてます。エロじゃないってさっき書きましたが、裸ですからね。その風景を盗み見して、夜、もやっとした源氏は空蝉を襲います。しかし、上着をのこして人妻は逃げてしまう。それを「空蝉」蝉のぬけがらと歌いながら胸に抱いてもみしだく。でも、一緒に寝ていた義理の娘の処女はうばうんです。そして、軒端の荻、そう、雑草あつかいして、あれはあれでよかったって思い出すのです。エロチックコメディ。

 源氏物語はこうした短編を身近な人に語り、書き写すことで始まったようです。この巻は、落ちぶれて貧しい不美人な女性が年老いた男のおもちゃに後妻に入ってという話です。家に入るということは女中扱いですね。しかし、教養があって、自分の気持ちがある女性は若いおんなです。その女性が、何回かの魅力的な男の誘惑にもだえながらこばむ。そんな心の機知を細かく描いているので胸をつかれる。蝉と荻と「すずし」、残暑のころに起こったことだというアイテムがちりばめられていて、しゃれてるよね。

 好評だったようで、女性の名前を題名にした短編を書きづつける。「夕顔」はホラーです。これも面白い。続きます。