oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

詩集を読んでみる「原民喜詩集」

  図書館で読んだ原民喜の「夏の花」を読み返したいと探していたら、2015年に岩波から詩集が出ているのに気がついた。梯久美子さんの本で紹介されていた詩がきちんと読めるのがうれしかったです。遠藤とのいきさつを描いた、小説「永遠のみどり」の木々の緑をモチーフにした詩、 「永遠のみどり」改めて、刺さりました。そして、遺書にかかれた「悲歌」こんなもん贈られたら、作家になるしかないでしょ。遠藤周作

 詩に独自性があり、戦前の作品でも何らかの形で残ったと思われる作家さんですが、原爆小景という一連の詩から死に至るころの詩はとびぬけていて、一へんを読むのが怖い詩もあり、「永遠のみどり」は原爆をうたって詩というだけでない、普遍性があるように思います。この詩集についている、研究者の竹原陽子さんの年譜は、梯さんの本の年譜と違うまとめられ方をしているのはにくいですね。本に省かれていた義弟との関係や、梶山季之ら、広島の文学青年とのかかわり、死後、どう読まれていたかもわかります。1975年に三省堂の教科書に「夏の花」はのせられているのですね。2010年に漫画にもなったみたいで、原民喜は低く底流のように読まれ続けていたのだな。この詩集を読んで、また、詩を読むことについて、考えてさせられました。

 話はそれますが、この頃、詩につよい本やさんに巡り合ったのもあるのですけど、詩集をよく読んでいます。そこで能町みね子さんも関わった、尾形亀之助の詩集を見つけました。私は親族とまずいのですけど、どうしても、会わないければならないとき、ずっと読んでました。

 私が詩の形式につよい作家さんにひかれるのは、東日本震災以後、世の中が不幸を美談で流し込もうとしているからではないかな。今、詩は音楽の歌詞として生き残っているのですが、ことばがダイレクトに入ってくる音がない詩というかたちは、けっしてすたれるものではないと思います。言葉にしたくない思い、できないとき、まだるっこいみたいですど、詩というものはきっと寄り添ってくれると思います。原民喜はそうしたなかで、必要な人に寄り添うために、ひっそりと復活したのだなと感じます。繁栄していようが、不幸であろうが、生きるかなしみというのはつきまとうように思うのです。

原民喜全詩集 (岩波文庫)

原民喜全詩集 (岩波文庫)

 

 

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