oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと、書いています。

「カラフル」原恵一の世界を読み解く

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 東京国際映画祭で「クレヨンしんちゃん」の監督のひとり、原恵一の特集があった。彼の「しんちゃん」を離れての映画をなんとなく見続けていた。名監督、木下恵介の戦中を描いた実写である「はじまりのうた」。ちょうど、戦前の傑作「陸軍」みた直後で、加瀬亮がわりと好きなんで行ったのだと思う。「百日紅」も杉浦日向子歴史観が好きだし、北斎の娘おえいのことに興味があった。そして「カラフル」も次男さんがえらく感動していたので、改めて見てみたいと思った。映画評論家の町山智浩さんとの対談があると知って、なんとなく気になる理由がわかるかなっと思って行ってみた。

 見てみると、二子玉川駅二子新地駅あたりが舞台設定なのね。実は落語にひかれて、大山街道を踏破したとき、すごく印象に残っている場所だからだ。なぜならば、大好きな岡本太郎の母、かの子の実家、大貫病院跡は二子新地にあり、太郎のモニュメント公園があるからだ。そこは、神社の裏地の遊郭跡らしいところを歩いた、多摩川堤防沿いにあった。並びには、大きな、さびれた鮎料理をだす料理旅館がある。この場末感があるところが、この映画の重要な舞台となっていた。対談によると、歩いている時間感を再現したらしいので、ちょっとシンクロした。たぶん、二子新地にある大山街道ふるさと館の散歩マップに載っているので、この辺りに住んでる人は、歩かれたひともあると思う。

 大山街道は、山の中から溝の口駅におり、二子新地多摩川の向こう岸の二子玉川のきらびやかな高島屋の裏手の庶民的な商店街を通り、尾根沿いに世田谷の陣屋のあとあたりにいく。溝の口は、町山さんの対談に出てきた、監督が尊敬している脚本家、山田太一の住んでるあたりだ。そして、その道は世田谷陣屋をくだって、「サザエさん」の舞台である桜新町へ続いているのである。他のインタビューだと、監督はサザエさんのファンらしい。古代からの多神教的信仰の場所である大山へのみちに沿って鉄道がひかれている。鉄道って古いみちをなぞっていることが多い。そこを新興住宅がのびていき、新しい家族生活がはじまった。そのモデルケースとして、松竹の家族映画があり、サザエさんがあったのだ。私も世代的に古臭いと思うサザエさんを愛読していた。私の場合は、関西の田舎の文化圏に育ったからだと思っている。そういった私は、核家族って、ちょっとピンとこなかったのである。だから、そういった生活の途中である、世田谷あたりの大家族は、安心感があったのだと思う。

 大山街道は玉川新地から関東の縄文的な山みちに入っていく。岡本太郎がここに根っこがあったのも体感できた。なるほど、ここは都市生活と土俗との境目だったのだ。監督は群馬の出身だそうだけど、私の群馬を旅したイメージは、軽井沢あたりから信州に向かって古代のなごりに吸い込まれている感じだ。ここも電車が古代からの道をなぞり、河岸段丘の崖の墓地の集団を横にとおる。古代の集団墓跡だ。

 諸星大二郎があの辺りにルーツがあるらしいけど、とてつもなく、泥にまつわりつかれるような感じがある。いうなれば、個人が土俗的な集団に埋没させられる恐怖だ。土俗的な集団にしても、家族にしても、個人が埋没させられるのは恐怖だ。その主体性を取り戻す場所が、二子玉川の対岸の二子新地に設定されたのは面白いなあ。

 原恵一のアニメ「カラフル」は原作と随分と改変されていた。それについて、書いてみたい。

続きます。