oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

「アウトレイジ」無常といういこと

 ヤクザ映画なんだけど、「アウトレイジ」シリーズ、三作見てしまった。加瀬亮インテリヤクザとか、三浦友和さんの親分とか。二作目では、新劇出の渋い脇役の塩見三省さんの悪役とか、北野武監督は、見てみたいなと思える演技を引き出してくる。

 今回の映画でも、病み上がりの塩見さんが老残のヤクザを醜く演じてて、嬉しかったなあ。一作目の北村総一朗の親分もだけど、叩き上げで演技力があるから、便利に使われがちの俳優さんに、しっかりと見せ場を作ってくれる。

 「あまちゃん」のインタビューで、田舎の価値がみえるアキちゃんよりも、田舎の金持ちで、縛られているユイちゃんのほうが、きついって言っていて、それを支える演技をと言っていて、しっかり、世の中を見てる俳優さんだと感じた。この役も役者の業だけでなく、生にしがみつく老人の暴力性を客観的に演じてる気がするな。

 ピエール瀧が演じるヤクザが、おこなったあやまちをごまかすために、ビートたけし演じる大友の子分を殺してしまう。無能で理不尽な親分のもと、責任をごまかすために、たかがチンピラだと言い放つ、塩見三省の補佐。これって、最近、政界あたりで聞いたようなセリフ。その辺りがいい。責任をとらないで、組織が崩壊する。世知辛いなあ。前作まではファンタジーぽかったけど、今回の映画はがっつりと日本の現実につながっているのだ。

 そんなごまかしの世界で死の世界からよびだされ、仁義という名のもとで、理不尽な破壊行動をする大友。無常観が、たまらない。

  それで、たった1時間45分の映画なのだ。撮影もどっかのお屋敷を借りて、レクサスなんかを走らせてるだけなんだけど、スーツ姿の男たちが綺麗だし、なによりも映像が美しいのだ。

 

  音楽もいいです。

outrage-movie.jp