oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと、書いています。

濃密な人生を濃密に「阿吽」 第六巻

 おかざき真里空海最澄を描いた「阿・吽」も六巻まで来た。よみはじめたとき、絵は華麗だなと思いつつ、奈良仏教の腐敗を描いたあたり、ほんまかいな、盛ってるな、アクが強いなあと、反発しながら読んでいた。でも、桓武天皇宮廷の描写が正確なのに気付いて、これは、多少なりとも、あったことなんだろうと思った。桓武帝の息子、平城帝の愛人、薬子は、ほんとの悪女だ。彼女の過去を知ると戦慄する。悪女は作られるのだなあ、改めて思う。

 薬子の乱は、単なる権力闘争というわけでなく、中国の文化が形だけ入ってきて、使いこなせないこと、どんどん入ってくる渡来人の血をひく桓武帝の業とかが関係していると思った。貧富の差がひろがり、新しい文明の恩恵を受ける人、昔ながらの生活にいる人の格差が大変だったことが、描かれている。急な都市化で疫病もはやったようだし。そんな世の中をなんとかしたい。より新しい、生きるための真理を知りたいと、最澄空海が、立ち上がったわけが、浮かび上がってくる。そして、そんな、ふたりが、ついに中国に渡って、弾けまくる第6巻なのだ。

 しかし、なぜ、仏教なんだ。前作の「サプリ」を何巻か読んで、なんとなくわかった。チラ見なんで、どうかと思うが、全巻読むのって、お金もかかって、結構きつい。だから、まあ、ちょっとした感想だと思ってくだされ。

 「サプリ」は、作者の広告代理店、博報堂での体験を基にした、恋愛、お仕事まんがだ。アートなお仕事で、ステキな人に会えて、お金もたくさんもらえる。わたしは、広告代理店って、最近までわかんなかった。子供が小さいとき、築地ちかくのホテルに泊まって、夜、光り輝いている電通ビルをみた。忙しそうだな。でも、築地場外の美味しいもんが、食べたいとき食べれて、銀座が近くていいなあと思ったぐらいだ。読んでみて、修羅道だなあと思った。こんなしんどい仕事、しんどい恋愛、刺激的だけど、のほほんとした私は、しんどいなあ。 

 そのあとの、医療の世界を舞台にした「&ーアンドー」もきついなあ。わたしは若いとき、長期入院したこともあるので、夜中にこつこつと巡回する懐中電灯を思い出した。夜中、働かなければならない、医療の世界も修羅道ですよ。読んでみて、なるほど、作者の中で、このまんが「阿吽」が描かれた、道筋がわかった。

 わたしはこんな過酷な忙しさを味わったわけではないが、色々と生きていくと、宗教の意味がわかってくる。特に東日本大震災で、悼むという儀式の大切さから、宗教の意味がわかってきた。で、最近は、たまに、お墓まいりしたり、お寺に遊びに行ったりしてるわけですよ。

 でも、かつての宗教は、家意識とかの封建性に深く繋がっていたわけで。法事で、先祖のお墓まいりにいったら、反発してるひとに、古いって、鼻で笑われたりした。私たちもだけれど、大きな戦争を経た老人たちの不信感も強いなあと思う。

 星野博美、「みんな彗星を見ていた私的キリシタン探訪記」で読んだけれど、スペインあたりの宗教不信も大変らしい。この複雑で科学的な現代だと、バカバカしいとも思うのは共感できる。でも、いざ、ひとが亡くなってみると、無宗教のお葬式って、まわりがスッキリしないらしい。

  そんな、今、改めて、なぜ、昔、仏教が必要だったか、ちゃんとした信心のない宗教の恐ろしさ、そして、かつてあった、ひとの心を追求した哲学、科学としての、宗教のかっこよさを描いた、このまんがは面白いと感じるのだなあ。 

 

 

 

阿・吽 6 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

阿・吽 6 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)