oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

みみずくは黄昏に飛びたつ 村上春樹インタビューを読む

私は小説のバックグラウンドものはほとんど読まない。でも、「騎士団長殺し」のみみずくが可愛いかったので、この本の装丁にひかれてしまった、読んでみて、主人公と、出てくる謎の人物、免色さんの年齢設定が重要なことは読み取れていたなあとうれしかったです。村上春樹は三十後半の主人公を常に描いているのですね。さうですね。この時期は亡くなったり、ずいぶんと人柄が変わる人が多いなあと思っています。人間の生物的な寿命は、本来はこの頃だからからかな。村上さんは人の完成はこのころで定まると確信があるようです、そんなことが、このインタビューから感じられました。そのながれで、村上文学の主人公たちのよくある、あんな優雅な三十代があるかとの疑問に、川上未映子さんがズバっと切り込むのが心地いい。それにどう答えたか、その辺り、面白いです。また、女性が常に性を通して主人公を導くのは、ファミニズム的にどうかにも迫っています。川上未映子さんの小説読んだことないけど、読んでみたい。そう感じさせる鋭さです。プロどうしの話なので、ただの読者には、読み取れないことの多いこともありましょう。まあ、彼女が熱心な読者なのを割引いても、本を読んでもらう戦略だとしても、フェアないい本だと思います。こども時代の話など、洞窟の語り部のように、心がけて小説を書いている彼が、特異な存在である謎が、少しわかったような気がしました。 この本は、なぜ、彼の本が世界で読まれるかを、心の地下一階、二階にたとえて語り合っており、刺激的です。 また、やはり、「ねじまき鳥クロニクル」が、彼が代表作だと自負する存在であること、オウム事件のインタビュー、「アンダーグラウンド」と」「約束された場所で」とを読まないと、小説の謎が解けないことは納得でした。日本人は、あんまし三作を読まないようですね。切実すぎるから。今も続いているなにかしらと関係あるからかなあ。クロニクルは客観的な目でシステムとたまごの問題に迫っていて、色々悩んでた頃、ずいぶんと、この作品に、私は救われたと思っています。今回の新作は、同じように、村上春樹の先の戦争から続く、人々の沈黙への問いかけのひとつだと思ってます。エンターテイメントして面白く、そして、すごく読みやすい文章でワクワクしました。 重要な小説で読んでないものも多く、早速、短編「眠り」を探してみて、拾い読みしました。主人公が読んでるアンナカレーニナの現代版で、改めて、トルストイ読んだら、今どう感じるだろうと思いました。長編で大変なんですけどね。小説って、改めて、手間かかるけど、読みたいと思いました。