oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

映画「ライオン」子供ってなんだろうな。

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 迷子になったインド人のおさない子供がオーストラリア人の養子になってというお話です。 「子供って?」って問いかけの答えが明確な、わかりやすい映画です。

 主人公は母子家庭の子なんですが、いいお兄ちゃんもいるしで、幸せでした。しかし、貧しくてつらい。それで迷子になってしまって、施設に送られるのですが、いや、ひどい大人が多い。つけこんで、子供をおもちゃにする奴が多い。でも、助けたいという人から、養子の話が来て、オーストラリア人に救われてということなのですが、自分だけ豊かな生活をしてることに申し訳なくて病んでしまうんです。そんな彼が親兄弟をさがしに、インドに旅立ちます。

 養子になる前の子供時代のインドの様子がいいです。兄弟の生き生きとした生活の様子、路上での、施設での子供たちの姿、子役たちの熱演もですが、大人たちの演技もいい。協力しているインドは映画大国なんだなとしみじみ。大自然をふくめた映像がすばらしく、こういった素材を、エンターテイメントとしてきちんと作っている映画です。

  しかし、インドには8万人の行方不明の子供がいるのだな。色々な原因があるでしょうが、貧しさや社会のひずみで、希望がなくて、つらい人が多いということでしょう。かつての日本もそうだったんですよ。歴史を読むと、江戸時代なんか、誘拐、児童労働なんて、当たり前だったのがわかります。それを時間をかけて変えていったのです。それは住んでいるところを変えないで待っていた、主人公の母のような人がたくさんいたからでしょう。

 しかし、応急措置も大切だ。そこで、子供を助けるのはつらいこともあるし、たいへんだけど、大切なことなんだよということです。それを養母をニコール・キッドマンが演じているのが、重しになってます。現実に養子を育ててる人です。この養母なるひとも子供時代が大変で、希望をなくしていたのですね。社会っというものが、色々とあると、自分が死んだ後なんかどうでもいいから、生きづらいから、未来のある子供をいじめることで、憂さ晴らしてる大人って、どうしても出てくるのです。日本の保育園の騒音に病的に反対するひとなんかも、潜在的には、そうかもしれないです。でも、こういう生き方もあるよ、希望をもてるよという、問いかけがあるのです。映画「スラムドックミリオネア」の子が立派な大人の役者になって主演しているのも、そんな希望のありかを示していて心強いです。

 ラスト、汽車の上に飛び乗った、主人公の兄の輝かしいショットで終わります。子供を愛することの意味が、言葉でなく、感情に、ダイレクトに心に刺さってきて、いい終わりだなあと感じました。それは主人公が、オーストラリアで生き残った意味も、暗示しているのですね。

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