oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

「ムーライト」そうはひとは変わらない

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 「ムーンライト」は月のひかりで黒人は青くひかるという伝説をモチーフにした、ゲイに生まれついた黒人青年の心のたびを描いた映画です。青を強調した画面がとても綺麗でした。青年は黒人貧民層の性について過剰さを競い合う社会で浮きまくり、いじめられます。どうしても、同胞や自分に誇りをもてない。そんな彼にある男が、黒人は美しいという伝説を教えます。そして、そのことを道しるべに生きていきます。子供時代、少年期、青年と三人に演じられるわけですが、繊細な子供だった彼が、黒人貧民層のありふれたマッチョな青年に成っているのは驚きですが、ゲイだったらこんな感じっていう思い込みをついたのだなと思いました。ありふれた人たちが、繊細な内面をもつわけです。だいたい、ゲイだからってふつうのひとなんです。そういった意味でこの映画は、今なんだなっと思いました。声高に権利を主張するわけでもなく、だれにもある内面性の世界に落とし込んでいく。あと、アメリカの男性の生き方への警告にもなっているように思います。人間はそう白黒でわけられるわけではない。そもそも、どんな関係にもエロスがかかわってくるはずです。

 ラストはちょっと曖昧でスッキリしませんでした。映像で語るという前衛的な手法もあるし、アングラな戯曲がもとであるとも思いますが。主人公はある境遇になっているわけですが、それでも内面に月のひかりを持って生きるのか、別の生き方をするのわかりづらいです。現実へ開かれていなくて、心情風景で終わっていて弱い感じがします。しかし、それだけ、黒人のゲイについて語ることは難しいのだろうとも思いました。知るってことはたいせつです。たぶん、隣人がどんなひとなのか、みんな知らないのです。しかし、人間である以上、そう基本的なところは変わらない。それがゲイであっても、黒人であってもです。

moonlight-movie.jp