oohama5656's blog

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ドラマ「夏目漱石の妻」明治の新しい夫婦

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 長谷川博己尾野真千子漱石夫妻を演じる、ドラマ「夏目漱石の妻」を楽しみにしている。ご子孫も遠くなったし、世の中の感じ方も変わったしで、夏目漱石の生い立ちとその精神的苦悩、そして家族へのDV描写までも描かれていて、色々と考えさせられる。池端俊策の脚本は、その背景のふかい部分まで迫っていてみごたえがある。でも、しっかりユーモアがあって、おしゃれなドラマに仕上がっている。池端さんは尾野真千子がご贔屓らしく、足尾銅山がらみのドラマも力作だった。

 今回は、漱石の狂気をマンガチックに怪演している長谷川博己の受けだからか、抑えめの感情表現なのが心地いい。ここんとこ、力の入りすぎる演技が浮くのが気になっていた。最近のオノマチのなかで一番好きかな。しかし、漱石の不安定さは、ひどかったのだな。幼児期にいろいろあったひとは恐怖と共にいるので苦しかっただろう。江戸時代だったら粗末にされる、名家の次男三男が、明治になって学問をすることによって、一家を持てて、お金や地位を得ることができた。そのがんばりの反動で、精神的に不安定になるひとは多かっただろう。漱石夫妻は、そういった家族に縁がうすい男性が、西洋の影響を受けて作る家庭の、ひとつのサンプルだと思う。悪妻って、漱石の周りのひとは言ってたそうだけど、きちんとものをいって戦っていたからだ。なんとなく泣き寝入りをして、めそめそしたり、母親きどりだったりで、男に都合のいい女の人にされたのが大半だったんじゃないか。だからこそ、漱石の苦悩もきつくなったかもしれないけど、あれだけの小説も書けたんじゃないかな。

 池端脚本で、鏡子夫人のお父さんが、困ったひとだったのがわかった。ロンドン留学は、お父さんが熊本にいる夫婦を心配して、無理やり根回しして行かせたのだな。人間関係が悪く嫌われて、熊本にずるずるいそうな漱石をなんとかしたかったのだろうけど、大きなお世話だ。夫婦を引き離して、本格的におかしくしてしまった。娘が心配だからだろうけど、むすめにそばにいてほしい、婿に出世してほしいという甘えがあったのだろう。なんとも自分の都合しか考えないひとだ。たぶん、彼らは、平凡だったろうけど、熊本にいたら、それなりに夫婦の問題を解決したんだろうなと思う。

 それにしても、長谷川博己はへんな俳優さんになった。園子温の「地獄でなぜ悪い」、「ラブ&ピース」見たけど、特に「ラブ&ピース」は無茶苦茶で、どこか狂気を演じるのに吹っ切れた感じがある。西田敏行の気持ち悪さとともにすごかった。背がでかいだけで平凡なこの人には、演じることへの強い欲求がある。

 第3話では、「道草」に描かれている漱石の養父、「坑夫」のモデルになった青年が出てくるらしい。このふたつは、初期のいろんな試みで、漱石らしさを作っていくみちゆきが見えて、面白い小説だ。その背景が描かれるのたのしみだな。確か本木雅弘漱石、鏡子夫人が宮沢りえの、TBSのドラマ「夏目家の食卓」もあった。漱石夫妻は核家族の夫婦の始まりだから、描いてみたい題材のようだ。それを、生命力の強い尾野真千子と怪演も楽しんで演技しちゃう長谷川博己で見れるのって、これからも楽しみだ。

www.nhk.or.jp 再放送もあります。

 


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