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oohaman5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと、書いています。

もやっとした気持ち「アヘン王国潜入記」

読書

久しぶりに遠出して、ここらで唯一チェーン展開していない本屋さんに寄った。だんだんとスペースが先細っていき、本の内容が多彩でなくなっていくのが寂しい。そんななか、高野秀行の「アヘン王国潜入記」が紹介されていた。 こういうくせのある本の紹介、すきだな。まだ、個人の好みが店に反映されているのかと、うれしくなった。個人のお店のおすすめは失敗もあるけど楽しい。1995年のアヘン生産地潜入の話など、、読んでみてどうかなと思ったけど、こころざしにかんじて、読んでみました。たぶん、最近、同じ著者の「謎のアジア納豆:そして帰ってきた<日本納豆>」が発刊されて話題になってたからだろう。食べ物ばなしはすきなので、私もラジオで著者のはなしを聞いて印象に残ったが、単行本高いもんなあ。

 日本と関係ないっというのは、発行当時もそうだったみたいで、英訳本でまず発刊され、世界の麻薬関係のひとから、講演の依頼がたくさんあったらしい。こういう広がり方あるのね。しかし、一気に読んでしまったのは、今も解決できない普遍的なもんだいを示してるからだと思う。私が言うのもおこがましいが、地方のオリジナルの文化が、お金のちからで壊されているはなしだからだと思う。実際、今、ミャンマーの中国に隣接するこの地方は、公用語が中国語になるような状態らしい。他の地方から文化が押し寄せてきて、搾取され、固有のアイデンティティーが破壊される、今、せかいのあっちこっち、もちろん、日本でも起こっていることだ。

 ところで、この黄金のトライアングルでアヘンが盛んに生産されるようになったのは、中国がアヘン戦争を経て、お金が流失するのを恐れてからだそうだ。それはじりじりと、この地方の中国化を 進めていっているようだ。そんなぎりぎりのとき、著者は伝統的な農村に潜入してその生活を体験する。かつての日本の農村とかわらない、勤勉でそぼくな人々がけしを栽培している。アヘン中毒になる人も日本のアル中人口ぐらいのものらしい。年配の人が多い。それは、今、日本の田舎で、年配のアル中の人が多いのと変わらんね。人生、体力がなくなると、できることが少なくなり、ついということだと思う。それは田舎に共通することだろう。著書のさいごで、今の急激な時代の変化のなか、自治政府軍がそそのかされて、覚せい剤の生産が始まっているというところで終わる。農業から工業へということなのだろうが、嫌なはなしだ。村の移転のはなしもあって、村人はどうなったのだろう。

 著者の青春をえがいた「ワセダ三畳青春記」でもそうだけれど、登場人物たちの行く末がすごく心配だ。彼の周りには、常に死のかげがある。この本でも結婚前の村人、そして、彼をかの地に潜入させてくれた自治政府軍の男が亡くなっている。そういったぎりぎりのひとびとと、共に生きることを、いっときでも受けいれるということが、高野秀行の資質の面白さかもしれない。いやあ、楽しく、刺激的な、知の冒険をさせていただきました。感謝です。

 

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

 

 

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉