oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと、書いています。

情景が浮かぶように トーマス・ハーディ「呪われた腕」

 久しぶりのジェーン・オースティンの新訳で小説っていいなあと思っていて、彼女のあとのイギリス文学読んでみたいと思っていたら、新潮文庫から村上柴田翻訳堂から、彼女の次の世代の作家ハーディの短編集が新たに出ているではないですか。昔、ロマン・ポランスキーナスターシャ・キンスキーで映画化したのを見て、乳搾りの少女に男がイチゴを食べさせるシーンと最後に犯罪を犯した彼女がストーンヘンジに逃げ込むシーンが印象に残っています。あまりに理不尽で陰気なはなしで原作は読めなかったです。この短編集のなかの一編でも、ストーンヘイジが人間の悲劇をいろどっていて美しい。村上さんと柴田さんの解説もついていて、オースティンは発展期の小説、そしてハーディは失われていく時代の物語だというのは納得です。昔の貴族が没落したけれど、貧しい人々への搾取がなくなったわけではない。自然も損なわれつつある。社会の変化に対するほの明るい絶望感を感じるのです。

 そして、なんとなくですが、話の理不尽さは歌舞伎を見ているような気持ちになります。小説以前の昔話の色あいがある。全編、社会に振り回され、年老いていく女の人の悲劇で暗いですが、絵物語を見せられているような気分で読まされます。羊飼いの少年が出てきますが、同じように寒さや湿気を感じながら、自然のなかで育った人なのだなと思います。ハーディをモデルにしたとされる次世代の作家モームの「お菓子とビール」、モームにしたら明るくて好きな小説だったのですが、ハーディをじっくり読めてよかったなと思います。「テス」読んでみます。

 

呪われた腕: ハーディ傑作選 (新潮文庫)

呪われた腕: ハーディ傑作選 (新潮文庫)

 

 

 

  ナスターシャ・キンスキーの乳搾りの少女ほんとに美しかったです。

 村上柴田翻訳堂の今後の発売予定のラインナップに「宇宙バァンパィアー」とあって、あれって、とんでも映画「スペースバンパイア」の原作かと思ったけど、そうだった。そうかあ、原作あったんだと思いました。