oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

なんだかんだと、読書の日々

  雨で肌寒い日は、縁の下で寝てるのら猫になって、妙にぐったりして気分です。今、縁の下に潜れる家って少ないけど、あの薄暗い感じって悪くないです。外出もおっくうだし、なんだかんだで本読んでいます。昨日よんだのは、春日太一の「役者は一日にしてならず」16人のベテラン俳優さんのインタビューものです。平幹二朗近藤正臣平泉成、今も現役で生き残った方々です。若いときも落ち目なときもうっすらと覚えているので、ちょっと感動ものでした。近藤正臣木下恵介に見出されたとか、平泉成市川雷蔵のつてで映画界にはいったとか、演技をよく知っていて敬意のある人が、聞きださないとわからない話で面白い。Eテレでやってたマリリン・モンローが学んだストラスバーク演劇学校関係者の役者インタビューみたいで、こういう本って実はなかったんで、読んでみました。最近なくなった、夏八木勲蟹江敬三のインタビューもありました。夏八木勲、関西の深夜、サウナかなんかのCMに裸でお風呂につかってて、この人はすごいと思いました。この本を読んで、晩年、園子温の「希望の国」とか、「そして父になる」にでれた役者という仕事への熱さが読み取れてよかった。

 

役者は一日にしてならず

役者は一日にしてならず

 

 

 ここんとこ小説を読んでいて、獅子文六の「7時間半」と西加奈子の「漁港の肉子ちゃん」読みました。獅子文六は「娘と私」の映画がよかったので、改めて読んだ。「7時間半」は昭和30年代はじめの東京大阪間を走る特急列車の食堂車や車両で働いていた人の人間模様を描いたコメディです。当時の流行満載です。宮藤官九郎ににてる。なるほど、だから、改めてぞくぞく文庫化されているのですね。ものすごく、きちんと取材されていて、食堂のしくみを覗き見る楽しさ、そして、大阪に電車でいってる私でもわかるぐらいの正確な窓の外の風景の変わらない様子、そして、恋愛模様の毒もたっぷりです。ダブルヒロインで、下町出身で、働く女性のさきがけの看護婦を演じてスターになり、同姓に人気だった田中絹代、フランスの没落貴族出身で恋愛中毒ブリジット・バルドーそのふたりに当て書きした脚本のように、細かく女性像が描かれていて、週刊誌連載を読んでるおじさんたち楽しかったんじゃないか。そのふたりの恋の結末が列車の7時間半で決着します。当時の若い女の子が現実の生活を受け入れる甘味さと苦さがあって悪くないです。時事ネタを入れてても読めるのは、細部をきちんと描いているからだと感心しました。

 

七時間半 (ちくま文庫)

七時間半 (ちくま文庫)

 

 

 西加奈子も初めて、なにを読もうかなと迷ってたのですが、これは、石巻をモデルにした漁村の焼肉屋の話。中で出てくる風俗の女の子が子供を産むくだりの心情が大体こんなことを感じているのかなっと、子供をのぞむ素朴な気持ちから、言葉にされています。確かに想像でしかないけど、どんな立場のひとでも子供を求める衝動っていうのはこんなもんかなっていう所まで降りてる気がします。ここにトライしたのは偉い。みんなも想像してみてというメーセッジがある。やはり、今を生きてる作家さんのひとりだと感じました。こういう志のある本を続けて読むと読書は楽しいって、やっぱり思うよね。

 

漁港の肉子ちゃん

漁港の肉子ちゃん