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oohaman5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと、書いています。

清水宏 「小原庄助さん」絶望を笑い飛ばそう 上

映画

 某アマゾンで本を買ったとき、ついでにどうですかということで、戦前名監督、清水宏の「小原庄助さん」を購入しました。これは、在庫で残っていた廉価版の松竹の名画シリーズのひとつです。不覚にも泣かされてしまいました。私が清水宏を初めて知ったのは、新藤兼人の「小説田中絹代」です。田中絹代は、戦前からの名女優で、新藤兼人の師匠溝口健二のミューズであった女優さんです。これが女優の業をこれでもかと描いて、めちゃくちゃに後味が悪い自伝でした。その中で清水宏は、彼女が十代で結婚して別れた馬鹿男として出てきます。その中での二人の結婚は、会社に迷惑をかける、犬猫の発情のように描かれています。かつて、蒲田の映画黄金時代を描いた、この本を元に市川崑吉永小百合で「女優」という映画を撮りました。渡辺徹が彼の役でした。渡辺徹が演じているのでわかるように、大食らいで大酒飲みのでぶで、女遊びがはげしくて横柄で経歴詐称で、とんでもない男だったようです。これは吉永小百合が主演なので、えらくきれいごとになっています。同じ本をネタに山田洋次も「キネマの天地」を撮っています。こちらも主演の藤谷美和子がとんずらし配役がかわり、なんだかなあというデキです。

 清水宏はこのように評判の悪い人であったこと、売れっ子でものすごく多作で、駄作も多かったこと、戦後映画界をはなれたこともあって、とても評価が低くかったようです。私が改めて見たいと思ったのは、エッセストの中野翠が書いた小津映画についての書いた「小津日和」での笠智衆とのエピソードです。

 そのなかで笠智衆は清水監督の映画をもっと見てほしい、評価がひくすぎると中野翠のインタビューでつよく語ったそうです。彼は、自然をそのままに、しろうとを風景として、ロケ中心に撮り始めた人だったようです。その清水宏笠智衆がくんだ「簪」は、戦争中の1946年、伊豆の温泉を舞台に、ほとんどオールロケで撮られていて、ほんとに心が和む映画でした。男盛りの30代の笠智衆の、健康で感受性のゆたかな素顔がみられてうれしかったです。男前ではないが、すてきな人です。ヒロインは元妻、田中絹代ですが、若き日の思いがあふれた美しい女性像として、映されています。その二人のそこはかない恋愛を中心に伊豆の緑の中で戦争を逃れた人々のたわいないエピソードが、自然の中で描かれています。疲れているときに見ると、温泉に行った気分になれる俳味のある映画です。

 さて、今回見た「小原庄助さん」です。この映画は、有名な民謡「小原庄助さん」を元に作られています。第二次大戦直後の世の中を面白お可笑しく描いてながら、世の中の変化への悲しみがにじみでて、胸にぐっときました。続きます。

 

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