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oohaman5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと、書いています。

ロバート・アルトマンの毒

 レイモンド・カーヴァーは生活者出身の作家である。そして、アルトマンも地べたをはいずりまわった経験を根にもつ人である。私は、一時期、ロバート・アルトマンの映画に凝っていたときある。アルトマンの映画は群像劇で、ひとつの都市や場所で起こる様々な人々の喜悲劇が同時に進行する物語が多い。初期の代表作は、朝鮮戦争をちゃかした「M・A・S・H」だ。しかしながら、ほんとの代表作は、テレビドラマシリーズ「コンバット!」だと思う。彼は、このドラマに、最初の数作品の監督を始め、色々と関わっていたようだ。「コンバット!」は、ビック・モロー演じるサンダース軍曹が主役の第二次大戦をテーマにしたヒューマンドラマだ。子ども時代、昼間の再放送で白黒だし、鬱陶しいなと思いながら、何度も見てしまった。小さな歩兵連隊が、うごうごと、戦場で色々と消耗するような出来事に遭う。それを数人の役者さんが、セットで演じるのである。一歩間違うとこれはドリフのコントなのである。実際、ドリフが、パロってたしね。軍曹役は、長さんだったな。後で知ってしまうと、監督のアルトマンもビック・モローも第二次大戦に従軍しており、リアルな体験をしていたから、話に説得力があったのである。見ていたアメリカの人々も日本の人々も体験者が多かったから、皆、納得したのだろうと思う。そして、ベトナム戦争のさなか、映画界で、その世界観を追求して、コメディとして描いた「MASH」で、アルトマンは有名になったのだ。

 このロバート・アルトマンは、ともかくいじわるである。結婚式の一日を描いた「ウエディング」なんか好きなのであるが、ともかく結婚を皮肉に見ている。一応、主人公は、花嫁の父なのだが、リリアン・ギッシュ演じる一族の長老に、ある秘密を握られている。その約束の終了が、この結婚式の日に起こったりするような話だ。そして、登場人物のひとりでミア・フォローが目立っているであるが、最近の駄目おばあさんの彼女を予測したようで、ちょっと悲しいのである。また、リチャード・ギア主演の「Dr・Tと女たち」では、「チャーリーズ・エンジェル」のファラ・フォーセットが出てるのであるが、頭のおかしい人の役である。美しい頃の彼女を知っていた者としては、悲しい。しかしながら、役者の素顔の姿を見抜いている、アルトマンのその視線はするどいのである。そういったことで、面白く見てしまう。

 ハリウッドを描いた「プレイヤー」や、レイモンド・カーヴァーの短編集を軸に、ロサンゼルスを描いた「ショート・カッツ」、そして、イギリスのお城の上の世界と下の使用人の世界を対照的に描いた「ゴスフォード・パーク」は、ちょうど、ジェームズ・アイボリーの自己愛的なイギリス趣味の映画がはやっていたときで、彼の意地悪なパンチが効いていた。彼の映画は、群像のさばき方が素晴らしく、面白く見てしまう。そして皮肉だけれど、どこか突き放したユーモアが、たまらなく悲しくて好きだ。アメリカのたくましい知性 を代表する映画監督だと思う。

 

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