oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

「昨夜のカレー 明日のパン」 木皿泉のドラマは美味しくて、せつない

 

 

昨夜のカレー、明日のパン

昨夜のカレー、明日のパン

 

 

木皿泉は、潜在的なファンの多い脚本家だ。私は、「すいか」から、見ている。まず、その当時の配役が斬新で、目についたのだ。地味な銀行員役で小林聡美が主役で、コメディで浅丘ルリ子白石加代子が出ているのがうれしかった。そして、小泉今日子が、重要な役で出ていた。それら面白い一人一人の物語が語られる中、小林聡美の親からの自立と、生きれなかった人生への後悔からの解放が、細かい日常描写で描かれる。そして昨日と少し違う今日を生きることを励ましてもらった。たまたま、法事に行ったとき、親戚のおばさんの、最近見たテレビの話題で出て来て、親子の関係が身につまされるわと話していたり、その後も、面白かったドラマとして、私のまわりで話題にあがっていた。

 木皿泉が、事情があって、執筆を止めていたとき、このドラマの原作が出て、ベストセラーになったとき、やっぱり、みんな待っていたんだと思った。そして、いつかドラマで見たいなあと思った。

 そして、この待望のドラマ化だ。日常の細やかさの中で、失ってことを悔やむのではなく、一緒に喪失とともに生きていくことをえらぶ人々のドラマが展開していて、やっぱり、いいですな。配役が絶妙だ。鹿賀武史が、主役の仲里依紗演じる夫を亡くしたテツコの「ギフ」を演じるのだが、若い頃の鹿賀武史は、劇団四季の人で、狂気の人の役を良く演じていたので、なんか、重いって言うのが、印象だ。その彼の軽味のある演技が見れるのは嬉しい。そして、仲里依紗が、堂々と、夫の親を見捨てられず暮らす女のの微妙な影を演じる。その恋人役の溝端淳平も始めてきちんと見た。

 第三回目まで、進んだけれど、気持ちのいい台詞がさりげなくしみるなあ。「ギフ」が、山登りに付き合ってくれた女性を励ます言葉に、うんうんとうなずく。生き死にを供にすることの深さと切なさの意味は、生き抜いて来た、我々ご同胞の肩をとんとんともんでくれる台詞だ。だから、これからも、テツコさんやムムムといった登場人物の生き末が気になってしまうのである。