oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

「思い出のマーニー」見てきました

 

思い出のマーニー〈上〉 (岩波少年文庫)

思い出のマーニー〈上〉 (岩波少年文庫)

 

 


「思い出のマーニー」劇場本予告映像 - YouTube

 なんだか、見る前から、騒いでいて、恥ずかしいんですけど、見てきました。なかなかの佳作では、ないでしょうか。原作の普遍的で、大切な部分は、しっかりと描かれていて、よかったですよ。

 元々、オルコットの「秘密の花園」を始め、イギリスの児童小説では、中産階級以上の子どもの、養育の放棄が、大きなテーマではないかと、思っています。「秘密の花園」も、遊び好きで、退廃的な両親に、インドの疫病で死なれて、ひとりぼっちになる主人公と、障害者のいとこが、花園を作ることで、救われる話です。そして、最後に、20世紀は、科学の時代になるので、このような問題は解決されるであろうという話で終わります。


The Secret Garden (秘密の花園)- Yiling Huang & Sarah ...

 しかしながら、そんな、簡単なことでは、ない。この子供たちが、育っても、愛情が薄かっため、親になっていくことは、なかなか、困難だったようです。問題は、科学の進歩や、文明の発達だけでは、解決しなかったのです。そこは、やはり、人間は不器用なものなのです。そのことに、改めて、挑んだ小説のひとつだと、思っています。

 その、解決の道しるべとして、「秘密の花園」でも描かれた、自然の圧倒的な力と、そして、隣人たちの協力が必要であるということが、ひしひしと感じられる小説でした。それとても、手だてに、すぎないのですが。そして、すべてが、うまくいくことは、誰も無く、それを認めて生きて行くしか無いのです。

 この映画では、その大切なテーマである、自然のすばらしさが、描かれていて、嬉しかったです。元々は、イギリスの海岸が、舞台なのですが、圧倒的な北海道の風景が、種田陽平さんの手を借りて、表現されています。現代の普遍的なお話として、話の舞台をもってきたのは、いいなあと思いました。海の満ち引きの繊細さ、湿度の高い霧の描写、みごとでした。そして、畑のトマト、ほんと、おいしそうだったです。北海道、行ってみたいと、思いました。

 後半は、マーニーと主人公との関係の、なぞときが、説明的だったのは惜しいと、私も思いました。そして、原作では、マーニーがいた、湿っち屋敷の新しい住人との交流と、主人公の成長が、交わり合って、描かれていたので、そこは、もう少し見たかったと、思いました。しかしながら、テーマをしぼって、圧倒的な時間の流れで、ラストまで、持って行く力わざで、よかったです。

 原作を読んでみたい。北海道に行ってみたいと、感じさせる、力がありました。そして、もう一度、あの細やかで美しい画面を映画館で見たいと、思いました。あの、画面の力強さは、映画館で見て、よかったと思わせる映画でした。

 

 

思い出のマーニー: スタジオジブリ絵コンテ全集21

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