oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

ケストナーへの思い

 ツヴァイクが、ウィーンのユダヤ人であり、著書をナチスに焼かれた作家であることを知り、ケストナーについて、書いてみたくなった。ケストナーは私の大好きな作家の一人だ。トリヤーの挿絵もあって、とても好きだったので、図書館とかで、全集を読んだ。自分で考え、判断することの、大切さを教えてくれた人だった。

 大人になってから、彼の伝記を読み、ナチスに、著書が焼かれた作家のひとりであると知った。ケストナーは、第二次大戦中、ドイツに踏みとどまった。そして、屈辱を生き延びた作家だ。

 彼は、かつての東ドイツだった、ドレスデンの出身で、そして、母がユダヤ人医師との不倫の末に生まれた子だったらしい。と、言うのは、母から、ケストナーが、若い頃、聞いた話で、女の私からは、何とも、言えない話かなあと、思う。とはいえ、このことが、彼の人生に影響した。この一人息子は、一生、結婚しなかった。そして、晩年、愛人のひとりに子どもができたが、もうひとりの女性との生活を選んだ。そんな、矛盾した人生の中から、子供たちを励ます文学が、生まれたのだ。

 ケストナーは、第二次大戦中、ドイツ人の内なるナチスを常に意識しざるえなかったようだ。母は、教育もなく、時代遅れの靴職人だった夫と、うまくいかなかった。そして、文化の担い手だった、裕福な知識階級に強烈なあこがれを持っていた。この、ドイツ人が持つ、憧れこそが、ユダヤ人の悲劇の原因のひとつだったろうと思う。

 

 

ケストナー―ナチスに抵抗し続けた作家

ケストナー―ナチスに抵抗し続けた作家