あわいの力 「心の時代」の次を生きる (シリーズ 22世紀を生きる)
- 作者: 安田登
- 出版社/メーカー: ミシマ社
- 発売日: 2013/12/26
- メディア: 単行本
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「あわいの力」 安田登
心って、言葉がないときは、なかったらしい。そんな、心と体のつながりを断ったり、つないだりする、何かについて、能楽師として、古代文字研究家として、語った本。言葉をはめることで、今の体調を知ったり、気持ちを知ったりする、そんな仕組みをついて、考えた本です。
昔、大学で、国文学を習っていたとき、能楽の体験会をすっぽかした私が、この本を読むって、不思議です。文楽の会に行って、能をすっぽかしたことを後悔したことを、思いだしました。
それから、30すぎてから、ぼちぼち、古典を読むようになりました。で、一年ほど前、歌舞伎を見に行ったところ、言葉が、すらすらとわかるし、邦楽が楽しめたのです。多分、それまで、色々と、本を読んだことで、理解できるようになったんですね。古典がわかりたい、それは、育ててくれた、おばあちゃんたちと、通じあいたい、懐かしい人と、語り合いたい気持ちなんだなあと、この本を読んで、納得しました。
さて、心って、なんなんでしょう。それがわかれば、もう少し、自由になれると思います。
「自殺」 末井 昭
母を自殺でなくした、末井 昭さんが、その人生について語ったもの。西原理恵子の漫画にときどき出てくる人です。その彼が、昨今の自殺が、交通事故より、多くなった時代に、何かしたいという思いから、書かれたようです。
話は、内容が内容なので、混沌としています。時間が行ったり、来たりもします。編集者になるまでの話、女性関係、そして、自殺志願者との対話なども含まれ、整理しきれないところが、生々しいです。
そのなかで、出会った人物として、永沢光雄という、ライターさんの話があります。 私も、彼の「AV女優」という、90年代のAVの女優に、インタビューした本を、偶然に見つけて、読みました。そして、こんなにも、真剣に、人と向き合ってたら、長生きは、できないなあと感じました。その人との出会いも書かれていて、考え深かったです。そんな、生き抜くことへの、大切さと、矛盾した思いが詰まった本でした。