昔、シンデレラ城の上であがる花火で始まるディズニーの番組をみたとき、世の中にはこんな素敵な場所があるのかしらと、わくわくした。ミッキーマウスやらのキャラクターも すてきだったけれど、ケーキやらキャンディやらのお菓子も美しかった。しかし、大人になってからは、ちょっと照れる。わざとらしすぎると感じるようになった。
しかし、気にはなるのである。それは私だけではないらしい。この映画はイギリスのBBC製作だ。「メアリーポピンズ」の作者、トラバァース女史が主役なのだから、当然といっていいけれど、やはり、ウオルトディズニーとは、なんぞか、みんな知りたいのだ。
特に、どう考えてもウオルトが、20年近くも「メアリーポピンズ」にこだわっていたのは、イギリス人にとって興味深かったんだと思う。
「メアリーポピンズ」はいい映画だと思う。シャーマン兄弟の音楽は名曲ぞろい。私も 大好きだ。改めて、見たけれど、ジュリーアンドリュースの歌、名優ディックバンダイクの踊り、すばらしいと思う。しかし、メアリーポピンズの原作とちょっと違う。
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原作では日常が淡々と描かれ、メアリーはとても大人の女性だ。どちらかと言えば、意地悪で、冷たい人だと思う。その彼女が、ふとしたとき、異界の扉をあけて、とてつもなく面白くて、ワクワクする世界を楽しませてくれる。
彼女は家庭の中の他者、別の価値観を象徴する人だと思う。日本で言うと、小姑とかだ。事実、作者のお父さんの大嫌いな、オールドミスの義理の姉がモデルだと知って、笑ってしまった。
しかし、めんどくさがりながら、こうやって、子供をかまってくれる人たちこそ、別の世界の道しるべだ。 実は、楽しいことだけでないけれど、自由でもある、大人への扉を開いてくれる人だ。ディズニーの童心の世界に遊ぶ人ではない。水と油だなあと、ずっと思っていた。
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しかし、そのウオルトが、この原作にこだわったこと、主人公たちの父のバンクス氏にこだわったことには、意味があるのだと思う。そこに、ディズニーの世界のヒントがある。
この児童小説のテーマの一つがお金であることは、この映画で、私は初めて教えてもらった。そうか、ずばり、バンクス氏だもんな。お父さん。映画「メアリーポピンズ」の中の歌、「2ペンスで鳩のえさを」を晩年のウオルトが大好きで、毎週末、シャーマン兄弟に演奏させていたらしい。
父親とは、お金とは、オトナにとっての子供とか考えてしまう。なんだか、色々と考えさせられる話なのである。
映画の感想としては、こちらの方のほうがいいです。