アンディウォーホールといえば、キャンベルスープとマリリンモンローのリトグラフであろう。商業デザインの繰り返し。再生されつづけるイメージ。
初めて、きっちりした、作品群を見た。とても、センスのある、しっかりした作家だ。 自分をさらけ出し、表現した、作品はひりひりする。作品は、色々な同時代の有名人の写真も多かった。ミックジャガーの写真がめだった。そういう時代の英雄のひとりだ。
晩年、麻薬のせいだろうか。ぼやけて、壊れた自画像写真が悲しかった。
たぶん、前衛芸術で、お金儲けできた、初めての人だ。大勢に認められることに、挑戦した。そして、自身も大量消費されたのだ。こうしてみると、ミックジャガーは、なかなか、したたかなもんだなあと思う。健康な晩年を迎えている。背筋ものびる、真剣勝負の展覧会でした。
帰り道、歩いて、麻布十番に出た。有名な浪花屋さんのたい焼きを買ってみた。
150円、安い。でも、しっかりとして、美味しい。ただ、私は以前、近くの駅前にあった、大判焼きを思い出した。修道女のような、独身の姉妹がやっていた店のものだ。ほとんど、無口で、しかし、丁寧に焼いていた。あんこも、しっかり炊かれていた。
駅の再開発で、店はなくなった。
ああ、このたい焼きも、かつては、ご近所の顔見知りが買っていく、町の地味な名物だったんだなあと思った。今はガイドブックに載る店だ。なんだか、ウォーホールに、ぴったりな気分だなあと思った。
あ、ついでに言うと、私の手元に吉本ばななの「どんぐり姉妹」がある。ちょっと、不思議だ。