oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

足尾からきた女 近代の現実

  NHKのドラマ、池端健策脚本、「足尾からきた女」見た。尾野真千子田中正造を支援してた、当時の社会活動家福田英子のうちの住み込みの女中さんになり、世の中の苦しみを知る。  そういうドラマだ。

 

 正直いって、歴史の授業で、田中正造の名前と足尾鉱毒事件を覚えたくらいで、前半はチンプンカンプンだった。福田英子って、何って、感じだし。

 

 やはり、尾野真千子演じる、文盲の主人公は、福田をはじめ、社会活動家が同じようにわからない。言っていることは、足尾を助けようということであるけれど、的外れな気がする。

 学問のある、日露戦争帰りの兄ちゃんが、日本が豊かになるには銅が必要で、出身の村の犠牲は必要なんだという。ただ、どちらも、なんだか、しっくりしない。ただただ、村を汚され、悔しいのである。

 

 そして、たぶん、福田ら、活動家よりも、自分に近い、貧乏人の歌人石川啄木に会う。彼の歌は美しい。近代の苦しみに寄り添うものだ。しかし、彼も生身は貧乏やらに、まみれるだけの存在だ。

 

 この、石川啄木との対決シーンからのエンディング、尾野真千子の魂のこもった演技は、これから、どう生きていくかの、私たちへの問いかけだ。今、この新しい年を迎えての、諸々を心の中に抱えながら、生きていく私たちの現実へのメッセージなんだなあと、感じた。